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中東の戦雲の中、トランプ氏の「衝動」と金正恩の「冒険」が猛威を振るう韓半島

中東の戦雲の中、トランプ氏の「衝動」と金正恩の「冒険」が猛威を振るう韓半島

Posted January. 07, 2020 07:54,   

Updated January. 07, 2020 07:54

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米国とイランの対決で中東に戦雲が深まる中、トランプ氏は5日、北朝鮮の核問題と関連して、「彼(金正恩朝鮮労働党委員長)が私との約束を破るとは思わないが、破るかもしれない」と述べた。米朝対話の局面を維持する前提だった北朝鮮の核実験と大陸間弾道ミサイル(ICBM)実験の中止の約束を正恩氏が破棄する可能性に言及したのだ。

これまで北朝鮮の相次ぐ脅威にも、トランプ氏は「正恩氏は約束を守るだろう」と強調してきた。そのトランプ氏が正恩氏の約束破棄の可能性に触れたのは、明らかな北朝鮮への警告メッセージだろう。さらに、米情報当局の北朝鮮動向報告に基づいた実質的な挑発の可能性を憂慮したのかもしれない。イランの「血の報復」脅迫への対抗に忙しいトランプ氏だが、北朝鮮核問題は、米国には無視できない脅威という警戒心を緩めてはいない。

中東問題の根底には、イランの核開発がある。イランはトランプ氏が2018年5月に一方的に脱退した核合意の履行中止を宣言した。これによりイラン核合意は座礁した。トランプ氏が、イランの報復に対して、より莫大な報復を加えるとして「不釣り合いな反撃」を警告したのも、核拡散の手綱が中東と北東アジアで同時に緩む最悪の状況を念頭に置いたからだ。

強大な軍事力を誇る米国だが、「二つの戦争」を同時に行うのは負担が大きい。そのため北朝鮮の核問題は米国の関心の後方になる可能性が高い。しかし、予測不可の「トランプ変数」を考えると、北朝鮮核危機の指数が下がると見ることは難しい。トランプ氏がイラン軍の実力者暗殺を決めた過程は驚くほど衝動的だったと、外信は伝える。北朝鮮に対する対応も大きくは変わらない。

トランプ氏のすべての関心は、年末の大統領選につながっている。弾劾政局であるうえ、周囲にトランプ氏を引き留める「大人の枢軸」まで消えた状況で、トランプ氏の「政治本能」は一層噴出するだろう。北朝鮮の挑発に対する報復は想像を越える可能性があり、北朝鮮の妥協には寛容な合意をする可能性もある。しかし、北朝鮮はいつもこのような状況を機会に利用してきた。当分は保身を図るかも知れないが、混乱を機会に利用した挑発で有利な交渉を引き出そうとする冒険主義を発動する可能性が高い。

 

中東の不安と共に韓半島情勢はさらに大きな不確実性に、特に米朝首脳の衝動主義と冒険主義の性向に委ねられた状況だ。危険な破局であれ粗雑な妥協であれ、その過程で韓国は排除される可能性も高い。ただでさえ米国とはホルムズ派兵や在韓米軍駐留経費負担交渉など懸案が山積している。政府は気をしっかり引き締めて、韓米協力の強化と安全保障体制の点検から急がなければならない。