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心の健康にも害を与える粒子状物質

Posted January. 18, 2020 08:57,   

Updated January. 18, 2020 08:57

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2019年に去り、2020年の庚子年が始まった。この1年間、韓国国民が最も関心を見せた環境問題は粒子状物質だった。環境保健市民センターが調査した資料によると、アンケートへ参加人数の59%が、粒子状物質を最大の環境問題に挙げた。政府も、粒子状物質を社会的災害に指定して、大統領直属の国家気候環境会議を発足させるなど、解決策作りに追われている。このように、誰もが粒子状物質の危険性について知っており、また粒子状物質の問題を解決するために軒並み悩んでいるが、一つの見逃している部分がある。ほかならぬ粒子状物質が、粒子状物質のように見えない人の心を害するということである。

英国の科学雑誌「環境保健の観点」は昨年、粒子状物質などの有害な空気とうつ病、自殺などの関連性について調査した結果を発表した。この研究では、大気汚染や精神疾患との相関関係があるという仮説を前提に進めたが、実験の結果、統計的な関連性が非常に強いことが分かった。中国、米国、ドイツ、英国、インドなどの16カ国で、1977年から2017年までの40年間調査した結果、1立方メートルあたり10μg以上が増加した微細粒子状物質(PM 2.5)に1年以上さらされると、うつ病発症のリスクが10%高くなった。

国内でも同様の研究結果がある。ソウル大学病院が2002年から2013年までに26万人を対象に行った研究では、粒子状物質に最も多くさらされた地域の自殺の危険が、最も少なく露出された地域より4倍ほど高かった。特に免疫力が足りない子供や高齢者、糖尿病や高血圧を患っている患者の場合、粒子状物質の数値になおさら気を使わなければならない。粒子状物質や糖尿病、あるいは高血圧の相関関係について研究した結果によると、一般的に粒子状物質の濃度が1立方メートルあたり100μg増加するたびに、うつ病にかかるリスクは1.44倍が増加したが、糖尿病や高血圧患者の場合はこれより1.83倍も高くなった。

粒子状物質が私たちの心を攻撃できることを認知した時間が短いだけに、私たちはまだ正確な原因すら分かっていない。科学界や医療界でも、呼吸を通じて体内に入ってきた粒子状物質が血管に浸透後、脳に到達して問題を引き起こすと推定しているだけだ。この過程で、脳の炎症や神経細胞の損傷、セロトニンホルモンの分泌低下などを誘発するという。セロトニンホルモンは、私たちの脳でイライラの感情を安定させる神経伝達物質であり、これが不足すると、うつ病にかかるリスクが高くなる。

精神科医のムン・ヨハンが書いた「今体に気を使いましょう」をみれば、「心に気を遣う最も有効な方法は、体に気を遣うことだ」というフレーズが出てくる。子供の頃、先生から教えてもらった「健康な体に健全な心が宿る」という文句が思い出される。結局、心を健康にするためには、体を守らなければならず、体を守るためには、当面の粒子状物質問題を解決しなければならない。また、心が病んでいるときは、これを恥ずかしがらずに積極的に治療する社会的空気も必要だ。新年は、韓国国民皆が、自分の周りの粒子状物質問題に目を通して、解決のために努力し、健康な体と心を持つことができればと思う。