昨年6月、ソウル瑞草区(ソチョグ)に住むイムさん(76・女)が自宅で突然倒れた。低血糖で意識が混迷したが、一人暮らしなので、助けを求めるところがなかった。このような彼女の状態を察知したのは、他でもないイム氏の自宅に設置されたモノのインターネット(IoT)機器だった。機器がいつもと違う状態を感知して、異常信号を送信したのである。イム氏に問題があることを察知した生活支援士の一歩早い対応で、イム氏は危機を乗り越えることができた。
ソウル市は、イム氏のように健康が良くないか、うつ病などで自宅の外になかなか出ない脆弱階層の一人暮らしの高齢者のために、2022年までに1万2500台のIoT機器を設置して運営する予定だと、5日明らかにした。現在、ソウル市は、5000世帯にこの機器を設置して運営している。今年から3年間、毎年2500件ずつ増やしていく計画だ。
ソウル市が設置するIoT機器には、人の動きや温度、湿度、室内の明るさなどを感知するセンサーがついている。収集したデータは、ソウル市と各自治区をはじめ、高齢者総合福祉館などのカスタム世話実施機関70カ所の状況板で、リアルタイムでモニタリングを行う。高齢者を担当する生活支援士も、携帯電話のアプリケーションで高齢者の状態を確認できる。
もし一定時間の間、家での活動が感知されないか、異常が疑われる場合は、担当の生活支援士がすぐにその高齢者の家に電話をかけたり、訪ねて行く。危険な状況の場合は、119救急隊に通報するなどの緊急措置を取る。ソウル市は昨年、この機器を使って、イム氏のように健康異常で倒れたり、行動に問題のある認知症高齢者を早期に発見して、より大きな事故を防ぐことができた。聴覚障害で電話による安否確認が難しいか、自発的な引きこもり、うつ病で生活支援士の訪問を気にする一人暮らしの高齢者も、リアルタイムでのモニタリングを通じて健康管理を行うことができる。
朴昌圭 kyu@donga.com