リオネル・メッシ(33=アルゼンチン)とクリスティアーノ・ロナウド(35=ポルトガル)のうち、どっちが世界最高の選手だろうか。サッカーファンにとって、これよりホットな質問はない。新型コロナウィルス感染拡大で欧州サッカーが中断された今、この質問がいつにも増して頻繁に登場しているようだ。
スペイン紙マルカは最近、歴代のサッカー選手を対象にトーナメント式のファン投票を実施した。「生きる伝説」ペレ(80・ブラジル)、ディエゴ・マラドーナ(60・アルゼンチン)をはじめジネディーヌ・ジダン(48・フランス)など錚々たるスターで対戦を組み合わせた。準決勝ではメッシがロナウド・ルイス・ナザリオ・デ・リマ(44・ブラジル)を52対48で、C・ロナウドはマラドーナを59対41で制して決勝に進出した。45万人が参加した決勝投票ではロナウドがメッシに54対46で勝利し、歴代最高の選手に選ばれた。ペレは準々決勝でロナウドに47対53で敗れた。
これに先立ち、スポーツコミュニティサイト「スポーツバイブル」は、それぞれメッシやロナウドと同じチームでプレーした経験のある9人の選手が、二人を比較する発言をまとめて紹介した。ロナウドはイングランド・プレミアリーグ(EPL)のマンチェスター・ユナイテッドで、メッシとはスペイン1部リーガ・エスパニョーラのバルセロナで一緒に活躍したジェラール・ピケ(33・スペイン)は米国のスポーツメディアESPNとのインタビューで「ロナウドは人間の中で一番優れている。しかし、メッシは人間じゃない」と言い、メッシに軍配を上げた。「スポーツバイブル」は、こうした過去の発言を根拠に、ピケ、アンヘル・ディ・マリア(32・アルゼンチン)ら6人の選手がメッシをより高く評価したと分析した。他の3人は優劣をつけられないとして二人とも偉大だと評価した。
個人の発言も相次いでいる。ペレは、先月末にユーチューブに出演し、「今の時代に最高の選手はメッシではなくロナウド」だとコメントした。しかし「歴代最高の選手は誰か」と言う質問には、簡単に「他でもない私」と答えた。すると、スーパースター出身のカカ(38・ブラジル)は、別のインタビューで「ロナウドをよく知っているけど、メッシが上だと思う。メッシは本当に天才だ」と話した。
マルカの投票は、専門家らの見解というよりは、一種の人気投票と言えるスポーツバイブルの評価は、過去の発言をもとにしているだけで、現在の状況を反映した客観的な分析ではない。ペレの発言についても「逆に受け取るべきだ」という意見もある。「ペレの呪い」とまで言われるほど、ペレの予測と判断は悉く外れたからだ。
少なくとも欧州でのファンの支持はロナウドが僅差でリードしているように見える。マルカ以外にも最近、英国の「ギブミスポーツ」が30万7000人を対象に実施した「ロナウドとメッシのうち誰が上か」というネットでのアンケートでも51対49でロナウドが多くの支持を得た。
しかし、最近の論争で、世代が大きく離れているペレを除いてはカカがメッシに軍配を上げたように具体的で明確にロナウドを支持した選手はあまりいない。選手と監督、ジャーナリストの投票で世界最高の選手に贈られるバロンドールをメッシは6度、ロナウドは5度受賞した。全般的にロナウドは弛まない努力と誠実さ、メッシは才能とクリエイティブさで高い評価を受けている。
よく歴代最高の選手を論じる際、「ワールドカップ(W杯)優勝をもたらしたか」が重要な基準になる。ペレ(1958年、1962年、1970年)とマラドーナ(1986年)が圧倒的なパフォーマンスで母国をW杯頂上に導いたのに対し、メッシとロナウドはW杯で優勝した経験がない。後日、メッシとロナウドがサッカー史でどう位置づけられるかは見守るべきだ。しかし、今、この瞬間、二人が現役の中で最も偉大であるということには異論がない。リーグが中止されたにもかかわらず、むしろ二人を巡る論争がより激化しているのは、それだけ現場での二人の優劣がつかないからだ。ファンは、二人が早く復帰して互いの技量を発揮してくれることを願っている。二人の活躍こそ、サッカーファンの最大の関心事だ。二人のうちどっちて優れているかを巡る論争は、10年以上続いている。キャリアの終盤に向かっている二人の対決は、今なおホットだ。
李元洪 bluesky@donga.com