健康不安説が流れていた北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が、姿を現わさなくなって20日ぶりに公開活動を再開した。正恩氏の動静が確認された翌日の3日、北朝鮮軍は非武装地帯(DMZ)で韓国軍の最前線監視所(GP)に銃弾を発射する奇襲行動を強行した。正恩氏の身辺異常説の混乱局面でDMZ奇襲挑発に出ることで、韓半島情勢を再び揺さぶろうという狙いがあるのではないかとみられている。
労働新聞などによると、正恩氏は1日、平安南道順天(ピョンアンナムド・スンチョン)の肥料工場の竣工式に出席した。先月11日の政治局会議の後、15日の故金日成(キム・イルソン)主席の誕生日の参拝にも姿を見せなかったが、20日ぶりに公の場に現れたのだ。北朝鮮は、正恩氏が一人で歩く姿や、たばこを吸っている様子を公開した。移動式カートに乗ったり、足の動きがぎこちなくみえたが、重体説とは程遠い比較的正常な様子だった。介助されたり杖をつくこともなかった。正恩氏は、「肥料工場の完工は、党中央委員会第7期第5回全員会議後に果たした初の成果であり、化学工業を一段階跳躍させる重要な契機だ」と強調した。昨年のマラソン全員会議で強調した「正面突破戦」の成果を確認するために現場を訪れたと強調したのだ。
正恩氏は自身の動静を追跡していた韓米の情報装備の対応を分析すると共に、総選挙を終えたソウルと11月に大統領選を控えたワシントンの反応を見て姿を現わすタイミングを決めたと、外交関係者はみている。トランプ米大統領は2日(現地時間)、正恩氏が姿を現わしたことを受けて、「彼が戻ってきて、元気そうで、私としてはうれしい」とツイートした。
しかし、正恩氏の動静が公開された翌日、北朝鮮軍はDMZ内の韓国の監視所に銃弾を発射し、軍が警告射撃を行った。2018年の9・19南北軍事合意が締結された後、北朝鮮がDMZで韓国軍に銃弾を発射したのは初めて。
軍によると、3日午前7時41分頃、江原道鉄原(カンウォンド・チョルウォン)地域の中部戦線のDMZで、数発の銃声がなり、韓国の監視所が被弾した。軍はGPの外壁の弾痕を確認し、北朝鮮軍のGPから機関銃を発砲したと判断し、K6機関銃などで2度、警告射撃(約10発)をした後、警告放送を実施した。北朝鮮軍の追加の動きはなく、軍は発砲の背景を分析している。
黃仁贊 hic@donga.com