「水印版画は西洋より1000年ほど進んだ版画技術です。西洋式の版画よりも容易で、簡単な道具で高度な技術を体得する機会になるでしょう」
美術の教科書で習った版画ではなく東洋の伝統版画はどのように作られるのか。中国で水印版画を研究し、これを現代美術に組み合わせた版画家のキム・サンヨン氏(54)は、「東洋版画を見れば、私たちがどのように生きてきて、どのような視線で世の中を生きてきたのか知ることができる」と話す。キム氏は1994~99年、中国瀋陽の魯迅美術学院、中国美術学院などで伝統版画を研究した。
水印版画は油を使わず、水を染料の溶解材料に使う。一般的に、西洋版画は油を溶解材料に使う油印版画で、プレス機を使って絵を刷る。紙に一度刷れば、鮮明に形が出る。一方、水印版画は機械を使わず、紙に広がる属性を利用して手で直接染料をつけながら、長い過程を経て完成させる。このため一瞬一瞬の集中力が求められる。
キム氏は、「水印版画は石版や木版、銅版などの版と、紙、染料など材料独自の属性が出会う時、どのように作用するかを複合的に考えなければならない」とし、「物質を扱う単純な違いが、世の中を見る見方の違いにまで結びつく」と説明した。キム氏は、このような内容を30日から国立アジア文化殿堂(ACC)で開かれる講座「現代美術の中に隠された東洋版画の秘密」を通じて市民に紹介する。
毎週土曜日、計6回の講座は、様々な材料を利用して版画を刷る体験形式で行われる。各自の好みで版や紙、染料を選び、自分だけの作品を完成させる。キム氏は、「美術教育の多くが西洋美術を中心になされ、東洋人の現代美術を理解するのに困難が少なくない」とし、「市民やアーティストも版画技術を体験することで、芸術を見る新しい見方を得ることができるだろう」と話した。
金民 kimmin@donga.com