トランプ米大統領が、「重武装の軍投入」など人種差別抗議デモに対する強硬方針を明らかにして以降、かえってデモの規模が大きくなっている。人種差別デモを越え、「反トランプ」デモに拡大する兆しも現れている。米政府は、ワシントン付近に1600人規模の軍を配置し、投入を準備している。
デモ8日目を迎えた2日(現地時間)、ワシントンやニューヨーク、ボストン、フィラデルフィア、ロサンゼルス(LA)、アトランタ、デンバーなど大都市の主要道路や公園には、午前から抗議デモへの参加者が集まった。通りを埋めた参加者は、前日よりも明らかに多かった。大半が、外出禁止の時間が経ってもデモを続けた。彼らは、催涙ガスで解散させようとする警察や軍と衝突した。
特に、トランプ氏の発言後、ワシントンのムードが熱を帯びている。ホワイトハウスの前では外出禁止が始まった午後7時以降も、道路を埋めたデモ参加者が解散せず、トランプ氏を「落選させよう(vote him out)」とスローガンを叫び、デモを続けた。ホワイトハウスに隣接するラファイエット公園は鉄条網で囲まれ、デモ隊の進入を封じ、上空ではヘリコプターが轟音を立ててデモ隊を威嚇した。近隣の通りでは、軍兵を乗せた約10台の大型の軍用車がサイレンを鳴らしたパトカーの後を走っていた。
米国防総省は同日、フォートブラッグ基地とフォートドラム基地の連邦軍兵1600人をワシントン近隣に配置した。憲兵や歩兵大隊が含まれたこれらの兵力は、首都圏の基地でデモ鎮圧のために待機している。ワシントンに約2800人の州兵が配置され、米全域では29州に約2万人の州兵が投入された。CNNは、「イラク、シリア、アフガニスタンに派遣された兵力の規模とほぼ同じ水準」と伝えた。
ニューヨークでも外出が禁止された午後8時を過ぎても、タイムズスクエアに数百人のデモ参加者が残っていた。米紙ニューヨーク・タイムズによると、午後9時半頃、アッパーウェストサイドで警官がデモ参加者と衝突し、一部を逮捕した。ニューヨーク市の「心臓」と呼ばれるミッドタウンのデパートや商店まで略奪被害を受けた。警察のヘリコプターが市内各地を飛び、デモ参加者を牽制した。
ただし、多くのデモは全般的に平和的なムードで行われた。ボストンやロサンゼルス、アトランタ、シアトルをはじめとする主な都市で行われたデモには黒人だけでなく白人や子ども、高齢者も参加し、座り込んで両手を挙げる方式の静かなデモを続けた。
しかし、トランプ氏は同日、ツイッターに、「デモ隊が平和だという主張は間違いだ」とし、特にニューヨークを名指しして、「完全に統制不能」、「混沌と無法、破壊に占領された」と非難し、軍投入を促すツイートを3度も投稿した。「ごろつきと敗者があなたたちをずたずたにしている」ともつぶやいた。
民主党は、トランプ氏の強硬鎮圧の方針を非難する決議案を推進している。特に、前日、トランプ氏の教会訪問のための道路を確保しようとホワイトハウス前のラファイエット広場で平和的なデモをしていたデモ参加者に催涙ガスとゴム弾を使ったことは憲法違反だということだ。共和党でも、ベン・サス、スーザン・コリンズ上院議員などを中心に批判の声が出ている。
ワシントン=イ・ジョンウン特派員、キム・ジョンアン特派員 lightee@donga.com · jkim@donga.com