先日、船に関連する2つの記事が目立った。最先端技術が集約された液化天然ガス(LNG)運搬船を史上最大規模で受注したという記事と、原始的な漁船・テベを国の重要漁業遺産に指定するように推進するという内容だった。カタール国営石油会社・カタール・ペトロリアムと2027年までに23兆ウォン規模、100隻以上のLNG運搬船のスロット(船を作るスペース)の予約契約を交わしたというニュースだ。LNG運搬船は、韓国造船3社が世界の90%シェアを占めている。一般タンカーよりはるかに高価なLNG船の今回の受注で、造船大国の面貌を再度確認した。
もう一つのニュースは、テベを利用した石ワカメの採取慣行を国の重要漁業遺産として指定する案が推進されるというのだ。最先端の超大型タンカー(VLCC)とLNG船を作る造船大国でテベって?テベとは、丸太をつなげて作ったいかだだ。丸木舟から発展した段階である加工した板材で作った慶州雁鴨池(キョンジュ・アンアプチ)の木船(8世紀)より形態上では原始的だ。東海(トンへ)の漁村には今も、テベに乗って石ワカメを採取するところがある。活性化したいくつかの場所をまとめて国の重要漁業遺産に指定するという。地域の環境・社会・風習などに適応しながら、長い間に形成された有形無形の漁業資源のうち、保全する価値があると認められれば、海洋水産部長官が指定する。現在、済州(チェジュ)海女漁業(第1号)、宝城(ポソン)素手漁業(第2号)、南海(ナムへ)竹防簾漁業(第3号)、新安(シンアン)天日塩業(第4号)、莞島(ワンド)支柱式海苔養殖漁業(第5号)、務安(ムアン)新安干潟タコ素手漁業(第6号)、河東光陽(ハドン・クァンヤン)シジミ漁手回し漁業(7号)が指定されている。
数年前に東海の漁村を調査する時のことだった。丸太で作ったテベ8隻が村に残っていたが、たいしたことではないと思った。そのうちの一隻は、毎日海に浮かんでいた。海辺に住む老夫婦がテベに乗って、石ワカメを採取しながら生計を続けた。ある日、海辺でテベを修理する高齢者のキムさんに声をかけた。キムさんはテベの強みについてならべた。「底が平らで、水深が浅いところを簡単に行き来することができますよ。とがっていれば流れを分けて進むには良いが、磯にぶつかれば沈没します。テベは丸太で作るから、ぶつかっても大丈夫です。波が打っても揺れが少なく、働きやすい」と話した。原始的で素朴だが、どの船舶も代わりができないことを、キムさんとの対話を通じて気づいた。
老人は言葉を続けた。石ワカメをいっぱい乗せて、安全に乗るためには、浮力が良くなければならないと言う。そのために桐の皮をむき、2、3年間乾燥させる。テベを作るのは難しくないが、木が十分に乾くまで待たなければならない忍耐が最高の技術だと話した。「うちの村の人々は、テベを作るために桐を事前に植えておきます。それを切ってまた数年間乾燥しなければなりません。テベは時間で作る船です。うちの家の垣根の下で、桐を乾かしています。こいつが役目を果たせば、新たに作らなければならないでしょう」と語った。老人は、若い頃モグリ(在来型ダイバー)の仕事をしてできた潜水病に苦しんでいた。筆者が村を去ってから間もなく亡くなったという知らせを聞いた。数年前から準備しておいた垣根の下の桐は使い道を失い、修理したテベは陸に上がった。