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株価回復、空売り禁止のおかげだろうか?

株価回復、空売り禁止のおかげだろうか?

Posted June. 20, 2020 08:29,   

Updated June. 20, 2020 08:29

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交通事故の原因を調べているうちに、人々が横断歩道の近くでけがをしたり死ぬことが多かったことを発見したとしよう。事故を減らすために、横断歩道の近くにスピードバンプを作るのも一つの方法かもしれないが、一部の人たちはこの際、横断歩道そのものを無くすべきだと主張する。横断歩道がなくなれば、横断歩道周辺の交通事故も当然減るからだ。

株価が下がって嘆く中、詳しく見てみると、株価が暴落するたびに空売りがいっぱいたまっていることが目に付く。一体株価が下がってこそお金を稼ぐこのような奇想天外な投資は誰が作って許可したのだろうか。空売りがなければ、株価が暴落することも減るのだから、空売り自体をなくすことが良いだろう。

予期できなかった伝染病事態は、今日まで人類が築いてきた知的、物的土台に嘲笑を投げる、今までも進行中の青天の霹靂だ。世界保健機関が公式にパンデミックを宣言後、世界各国の株価は急落した。そしていくつかの国は、伝染病による経済危機に見舞われて、空売りを取り締まることにした。空売りの重要性は、既に様々なチャネルを通じてよく知られているにもかかわらずだ。価格効率性の増大(株価が過度に上昇してバブルが生じることを防ぐ)は、株式の流動性増大(取引の活性化を助ける)、企業の詐欺や犯罪監視等がそれだ。しかし、空売りに関する投資家の怒りも大変なものだが、その最大の理由は何よりも空売りが価格を破壊するという信念にある。さらに、経済危機を加えると、株価下落と空売りをつなげる動機はさらにはっきりしており、従って金融委員会は、空売りを一時的とはいえ、全面禁止せざるを得なかったのだろう。幸いなことに、株価が急速に回復し始めた。そして、これを空売りが価格を破壊するという根拠にして、この際、永久に空売りを廃止すべきだという主張も説得力を得ている。

しかし、単に2つの時点の株価を比較して、空売り禁止前より後に株価がさらに上昇したので、規制が効果的だと判断するのは性急で幼稚なミスになるだろう。パンデミックの宣言時点と今の市場状況が同じでないからだ。例えば空売り禁止後、50日間、米国のS&P500指数は27.6%、日経225は28.7%上昇した。米国と日本は、今回の危機に空売りを禁止していない国々だ。空売りを禁止しかったのに株価が上がったので、それでは、空売り禁止は効果的ではなかったと言う意味だろうか?コスダックが41.5%上昇したのを見れば、それもないようだが、コスピは同期間わずか18.4%上昇して、米国や日本よりも低い収益を上げただけだ。混乱することなどない。要するに空売り禁止前と後の収益率を単純比較するだけでは、空売り禁止効果を明確に知ることができないというのだ。

このような初歩的ミスを避けるためには、空売りが禁止された株式とそうでない株式の株価を比較するのが基本だ。今回の規制は一時的ではあるが、すべての株式の全面禁止だったから、次善策として空売り禁止の恩恵を多くを受けると思われる株式と、そうでない株式を比較することも良い方法になるだろう。最近出てきたいくつかの記事は、空売りの「にわか雨」を避けた株式の価格が大幅に上昇したという内容を紹介する。空売り比率が高かった株、すなわち空売り禁止の恩恵をたくさん受けていると思われる株が、空売り禁止後三ヶ月間、高い収益率を記録しているとしながら、コスダック上場企業3社の収益率がそれぞれ19%、63%、39%上昇したことを例に挙げる。記事によると、空売りのため、特に非常に苦しんだと言われているC社の収益率も33.4%だ。

ところが、何か変だ。空売り禁止の恩恵を、これらの株より少なく受けている株もすべて含めているコスダック指数は、同期間になんと70%上昇したというのが落とし穴だ。それなら、空売り禁止によって株価が上がったと感心するのではなく、空売り禁止の最大恩恵株の収益率が、それより少なく恩恵を受けた株を含んだ場合の収益率と比較して、なぜそれしかないのかを確認するのが正しいだろう。

今回の経済危機で、空売り禁止がもたらした効果を判断するにはまだ早い。生半可な結論を下すには、今は緊急時期だ。そして生半可な議論で、その運命を決定づけるには、空売りはあまりにも重要なテーマと言える。空売りがどれだけ嫌われているかは、私もよく知っている。しかし、交通事故が多いからといって、横断歩道をなくすことはできない。ここであえて横断歩道の順機能を再度強調する必要はないだろう。