1918年のスペイン風邪、1957年のアジア風邪、1968年の香港風邪・・・。
科学者でジャーナリストの著者は、これらの感染症が過度な電波使用による電磁場の乱れのためだと主張する。米カリフォルニア大学アーバイン校医学部に通った著者は、X線の過剰露出による疾患で学業を中断した。彼は、20世紀に入って心臓病、糖尿病、がん患者が急増する現象も電気の使用と関係があるとみている。多少いぶかしく見える驚きの主張を著者は様々な研究結果と事例で裏付ける。
米国は1917年に、自国と植民地に高出力の送信機を50以上設置し、海軍は1万個以上の送信機を艦艇に設置した。1918年、ニューヨーク州、メリーランド州には高性能送信装備が導入された。著者は、数千万人が死亡したスペイン風邪は同年米国で発生し、米海軍艦艇によって世界に拡大したと指摘する。
米国に携帯電話の中継塔数万個が設置された1996年、運動選手の心臓マヒが2倍に増えた。著者は、電磁場がエネルギーを生産するミトコンドリアの活動力を落とし、細胞がブドウ糖、脂肪、タンパク質を分解する速度を下げるという研究結果をその根拠に提示する。
電磁波と病気の因果関係が直接的に明確に確認されたわけではないが、多くの事例で推測は可能だ。翻訳した梨花(イファ)女子大学環境工学科の朴錫淳(パク・ソクスン)教授は、「電波施設の影響を把握し、被害を最小限に抑える方法を模索する必要がある」と話した。原題『The Invisible Rainbow』
孫曉林 aryssong@donga.com