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ロシアがコロナワクチン承認、安全性には疑問の声

ロシアがコロナワクチン承認、安全性には疑問の声

Posted August. 13, 2020 07:49,   

Updated August. 13, 2020 07:49

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ロシアが11日、世界で初めて承認した新型コロナウイルスのワクチンをめぐって、ロシアと欧米の対立が深刻化している。3段階の臨床試験(治験)を終えていないこのワクチンをめぐって、英国の研究チームが、「真水と大差ない」と批判すると、ロシア側は「欧米が私たちの成果を組織的に蔑視している」と反発した。

 

タス通信によると、ロシアの政府系ファンド「ロシア直接投資基金」(RDIF)のキリル・ドミトリエフ総裁は同日、「ロシアのワクチンに対して組織的で緻密な情報攻撃がなされ、ワクチン開発に対する不信を育てている。欧米の政治的接近はむしろその国の国民の生命を脅かすだろう」と懸念を示した。

この発言は、ロシアのプーチン大統領が同日、「世界で初めて新型コロナウイルスのワクチンを承認した」と発表した後、米国やドイツなどが「ロシアのワクチンは信頼できない」という反応を示し、これに再び反論したものだ。アレックス・アザー米保健福祉長官はロシアの発表後、ABC放送に「重要なのは最初ではなく安全で効果的なワクチンを確保すること」と指摘した。

専門家たちも、ロシアが「世界初」と「ワクチン覇権」を手にするために検証されていないワクチンを商用化していると批判した。英サセックス大学の研究チームは英紙「ザ・サン」に、「様々な過程が省略された。特に3段階の治験の省略は前例がない」とし、「下手をすれば水と大差ないワクチンが接種される可能性がある」と懸念を示した。

 

1、2、3段階の治験は、医薬品開発の国際標準だ。3段階の治験で多くの人を対象にワクチンの安全性を最終的に確認してこそ商用化が可能だ。多くの製薬会社が3段階の治験を実施する。しかし、ロシア政府は自国のワクチンが今月初めまでに2段階の治験を終えたと発表しただけで、ワクチンに関する細部データを公開しなかった。

一方、フィリピンのドゥテルテ大統領は、ロシアのワクチンに高い関心を寄せている。ドゥテルテ氏は自国内のテレビ演説を通じて、「プーチン大統領がワクチンの無償供給を提案した」とし、「私が最初に接種し、実験台になる」と述べた。累計感染者が14万人に迫るなど東南アジアの中で感染者が最も多い自国の状況を意識したものとみられる。

一部で、ロシアがワクチン開発を政治化したという批判が出ている。ロシアが開発したワクチンの名前は「スプートニクV」。1957年に旧ソビエトによって世界で最初に打ち上げられた人工衛星「スプートニク」から取った名前で、冷戦時代の米国とソ連の競争を象徴する。新型コロナウイルスのワクチン開発に総力戦を繰り広げている米政府を意識してつけられた名前ということだ。トランプ政権も今年4月、自国のワクチン開発プロジェクトを「オペレーション・ワープ・スピード(超高速作戦)」と名づけた。米紙ワシントン・ポストは、「ロシアのワクチンの名称は国家的なプライドと全世界のワクチン競争を象徴する」と伝えた。

 

現在、世界的に6つのワクチンの3段階治験が行われている。米製薬大手モデルナ、ジョンソン・エンド・ジョンソン、ファイザー、ノババックス、英国の製薬大手アストラゼネカ、フランスのサノフィ、ドイツのバイオNテックなどの激しい競争の中、すでに57億回分のワクチンが世界的に事前注文された。英フィナンシャル・タイムズは、「国際協力より新型コロナウイルスの初のワクチン開発国になることが各国の目標」とし、「ワクチン覇権主義」が急伸すると警告した。

世界保健機関(WHO)は、ひとまずロシアのワクチンに対する医学的検証から実施しなければならないという立場を明らかにした。世界の臨床試験機構連合も11日、3段階の治験が完了するまで承認の延期を求める書簡をロシア政府に送った。


金潤鍾 zozo@donga.com