Go to contents

ベートーベンの「田園交響曲」にはどのような鳥の鳴き声が出るか

ベートーベンの「田園交響曲」にはどのような鳥の鳴き声が出るか

Posted August. 25, 2020 08:27,   

Updated August. 25, 2020 08:27

한국어

ベートーベンの交響曲第6番「田園」の第2楽章の終わりには、鳥の鳴き声が描かれています。クラリネットで再現されるカッコウの鳴き声は、誰が聞いても気付くことができます。フルートはナイチンゲール、オーボエはウズラの鳴き声を歌います。人々は昔から鳥のさえずりを愛し、音楽の中に溶かし込みました。韓国の国楽にも、南道雑歌「セタリョン(飛鳥歌)」をはじめ、鳥の鳴き声が多く引用されています。

1784年の春、モーツァルトは新婚3年目の新郎でした。この年に長男が生まれました。5月にモーツァルトは小遣い帳簿に楽譜一行を描いてはこう書いています。「ムクドリ、34クロイツェル(コイン名)、きれい」。家に鳥を買って行ったのです。

モーツァルトはオペラ「魔笛」で、笛で鳥の鳴き声をまねできるハンター・パパゲーノを登場させたりしました。彼が小遣い帳簿に書いた楽譜は、ピアノ協奏曲第17番第3楽章の主旋律になりました。3年後、モーツァルトは友人たちを招いて、このムクドリの葬儀を盛大に行ったというエピソードが伝わっています。

ハイドンの弦楽四重奏第53番「ひばり」は、第1バイオリンから出る旋律についた装飾音が、幼いヒバリのさえずりを連想させます。ヒバリといえば、英作曲家・ヴォーン・ウィリアムズの「揚げひばり」も欠かせません。春の情景の上に子ヒバリがさえずりながら飛び立つ姿を描いています。

この曲は、特に私たちにより親しまれています。フィギュアスケート・金姸兒(キム・ヨナ)選手がジュニアからシニア舞台に出場することになった初シーズンである2006年、フリースケートの主題歌として「揚げひばり」を選びました。当時16歳でした。若い選手が大人たちの広い世界に向けて飛び立つイメージで、世界のファンに強い印象を残しました。

ヒバリも素敵な歌を歌いますが、「鳥たちの声楽界」におけるトップスターたちは、なんといっても「田園交響曲」に出てきたナイチンゲールとカッコウですね。イタリアの近代作曲家・レスピーギは、最初からナイチンゲールの鳴き声を録音して、自分の作品の中で聞かせるようにしました。グスタフ・マーラーは、交響曲第1番の最初の楽章に複数の鳥の鳴き声を込めました。クラリネットが表現するカッコウの鳴き声は特に聞き取りやすいと思います。

ところが、複数の作曲家たちが描いたカッコウの鳴き声は、少しずつ音程が異なります。ヨハン・シュトラウスのポルカ「クラップフェンの森で」では、「ソ-ミ」の短三度で、ベートーベンの田園交響曲は「ミ-ド」の長三度です。南道雑歌「セタリョン」は、シュトラウスのように短三度ですね。マーラー交響曲第1番は主に「ドーソ」の完全四度です。どれが正しいのでしょうか。ユーチューブチャンネル「ユユンジョンチューブ」で、カッコウが歌う映像を聞いて見ればわかります。ヒバリなど他の鳥を描いた音楽と、実際の鳥の歌も比較できます。

今週、公演会場で複数の鳥の鳴き声を聞く予定でした。26日はロッテコンサートホールが主催した「クラシックレボリューション」の祭りで、ジェームズ・ジャッドが指揮する大田(テジョン)市立交響楽団がベートーベン交響曲第6番「田園」を、27日はソウル市立交響楽団がオスモ・バンスカ音楽監督の指揮とバイオリニスト・エスター・ユの共演で、ソウル芸術の殿堂コンサートホールで演奏するヴォーン・ウィリアムズの「揚げひばり」を聞こうとおもっていました。ですが新型コロナウイルス感染症(新型コロナ)の再拡散がこの期待を奪っていきました。

新しい感染症の頻繁な発生や、最近東アジアを襲った洪水もすべて自然と人間の関係が破壊されたからだという診断が出ています。人類が自然と和解して危機を克服し、周りから遠ざかる鳥の鳴き声を取り戻すことを願っています。


ユ・ユンジョン文化専門記者 gustav@donga.com