菅義偉官房長官が事実上、次期首相に決定された。与党自民党の主要派閥が自民党総裁に相次いで「菅支持」を明らかにし、自民党が党員投票を省略した略式投票で総裁を選出することを確定したためだ。議院内閣制の日本では、政権与党の総裁が国会で首相に選出される。
菅氏は、安倍晋三政権が再スタートした2012年12月から官房長官を務め、首相を至近距離で補佐してきた。本来首相の任期は3年だが、菅氏は安倍氏の辞任による約1年の残余任期(来年9月まで)の間、首相を務めることになる。対韓外交を含む安倍政権の政策はほぼ継承されるとみられる。
●ついにトップに就く菅氏
NHKによると、自民党総務会は、党員投票は実施せず、「国会議員票」394票と、47の都道府県連に3票ずつ割り当てられた141票のあわせて535票による投票で新しい総裁を選ぶことを決めた。これにより、14日に開かれる両院議員総会で、過半数(268票)を獲得すれば総裁になる。
菅氏は1日現在、自民党の細田派(98人)、麻生派(54人)、二階派(47人)、石原派(11人)、無派閥(約30人)で約240票を確保した。ここに、竹下派(54人)も菅氏支持が有力視され、その場合、菅氏は294票を確保して過半数になる。都道府県連が「0票」でも総裁に選出されるのだ。略式投票を実施するという総務会の結果が伝えられると、TBSテレビは、「菅首相の可能性が99%」とし、次期内閣の下馬評まで出した。菅氏は2日、総裁選への出馬を表明するという。
世襲政治家が多い日本政界の核心部で、菅氏は親の力や派閥、学閥のない立身出世型の政治家だ。秋田県のいちご農家で生まれた菅氏は、高校卒業後、上京して築地の魚市場の運搬、警備員、厨房補助などアルバイトをして法政大学法学部政治学科の第2部(夜間)を卒業した。衆議院議員の秘書官を務めた後、横浜市議員を経て、1996年に自民党公認で国会に進出した。現在当選8回。
菅氏は7年8ヵ月の間、官房長官を務め、政権ナンバー2として安倍氏を補佐し、官界を指揮した。2014年、内閣官房組織の下に内閣人事局を設置し、幹部公務員の人事権を握った。それにより公務員が「忖度」することになったという指摘も受けている。
●韓日関係の変化の可能性は低い
政策の面で安倍氏が「攻撃型」なら、菅氏は「守備型」だ。安倍氏が歴史問題、靖国神社参拝などで疾走し、周辺国と軋轢を起こした時、菅氏はブレーキをかける役割をした。安倍氏が国会で「閣僚の靖国参拝がなぜ問題か」と感情的に答えると、菅氏が注意したという逸話もある。
ただし韓国関連の政策に対しては原則主義者だ。日本政府高官は、「菅氏が意外に韓国に対して非常に強硬だ」とし、「韓国関連の政策を報告すると、『慰安婦合意の時に見たではないか』と否定的だ」と話した。元徴用工問題でも菅氏は、韓国側による解決策の提示が必要だと主張し、「韓国と協議したい」という茂木敏充外相と温度差を見せた。
韓国政府内外では、菅政権がスタートしても、事実上「危機管理内閣」の性格が強いため、韓日関係に急激な変化はないという見通しが出ている。陳昌洙(チン・チャンス)元世宗(セジョン)研究所所長は、「菅氏は安倍氏に比べて理念的な信念が弱い。そのため菅氏が首相になれば、韓日関係のムード転換が可能で、少なくとも現状維持が続くだろう」としながらも、「1年任期の過渡的な内閣になる可能性が高く、韓日関係の改善に重点を置きはしないだろう」と見通した。ある外交筋も、「根本的には安倍内閣をつなぐ『延長政権』なので、韓日関係に大きな変化を呼びはしないだろう」と話した。政府が11月末に推進している韓国開催の日中韓首脳会議を機に、今年中に韓日首脳会談が実現する可能性は比較的高まったという観測も流れている。
東京=パク・ヒョンジュン特派員 ハン・ギジェ記者 lovesong@donga.com · record@donga.com