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1対1027の交換

Posted September. 29, 2020 08:15,   

Updated September. 29, 2020 08:15

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2006年、2人のイスラエルの兵士が、イスラエルとレバノンの国境付近でヒズボラに拉致された。拉致地域がイスラエル国境内かレバノン地域かで論議があった。つまり、これが拉致なのか正当な逮捕なのかということだが、この事件でイスラエルが攻撃を強行し、約30日間の戦争が起こった。

14年にはガザ地区でパレスチナの抵抗組織ハマスがイスラエルにトンネルを掘って侵入し、兵士2人を殺害し、1人を拉致した。ハマスはこの兵士を生かし、5年間拘束した。強硬一辺倒だったイスラエルが驚くことに交渉に応じた。レバノン戦争の間、国際的非難も受けたが、以前にはなかった国内での反発もイスラエルには大きな負担になったようだ。イスラエルは何と1027人のパレスチナ収監者を釈放する前代未聞の1対1027の交換を行った。

イスラエルの侵略行為が正当なのかという論争は少しの間、考えないでおこう。2つの事件の解決法は違ったが、共通点は国家は1人であっても国民の生命を放置してはならないということだ。それが国家の存在理由であり、有史以来の権力の存在理由だ。

数日前、西海(ソヘ・黄海)で起こった殺害事件の被害者は戦時状態の兵士ではなく民間人だった。誤射でも誤爆でもない故意の殺害だった。韓国軍と政府は、一日前に創軍されたとしても、一日前に政権が発足したとしても理解できない言葉を吐き出している。

 

レーニン国家論の最大の誤謬は、国家と軍隊は支配層の利益を守るために誕生したという説明だ。それは違う。そのような機能があったことは事実だが、本質は国民の財産と生命の保護だった。軍事独裁に抵抗した時、運動圏はレーニンの国家論を好んだ。その人々の本意は、支配層の国家ではなく国民の国家を作ることだった。

この数日間で起こったことは、「国民の国家」なのか「支持層の国家」なのか「政権の国家」なのか分からない。「金正恩(キム・ジョンウン)啓蒙専制君主」発言まで登場した。過去に啓蒙専制君主とは欺瞞的な独裁権力にすぎないと非難した人々は果たして誰だったのか。