Go to contents

トランプ氏の新型コロナ感染が米中関係に及ぼす影響

トランプ氏の新型コロナ感染が米中関係に及ぼす影響

Posted October. 14, 2020 08:32,   

Updated October. 14, 2020 08:32

한국어

トランプ米大統領夫妻が新型コロナウイルスに感染したことが2日、確認された。このことが来月に行われる米大統領選と今後の米中関係にどのような変化と挑戦をもたらすのだろうか。

一部の米国民は、トランプ氏が「選挙延期」のために意図的につくった陰謀説と見るようだ。しかし、その可能性は低い。明るみになれば、選挙はまさに終わったも同然になるためだ。また、74歳と高齢のトランプ氏が命をかけて苦肉の策を講じる可能性も高くない。4月にジョンソン英首相が新型コロナウイルスに感染して2週間入院し、完治して復帰したが、英政界に実質的な影響を及ぼすことができなかったケースがある。

トランプ氏は3日後に退院した。トランプ氏がホワイトハウスに戻って最初にしたのは、国旗への敬礼とマスクを外すこと。そして、国民に向かって「新型コロナウイルスを心配する必要はない」と強調した。

11日現在、ホワイトハウスはトランプ氏が陽性ではなく陰性になったことを確認していない。主治医が「感染性はない」と明らかにしただけだ。ウイルス学者は、トランプ氏が3日間の治療でどの程度抗体ができたのか、この抗体がどれだけ長続きするのか疑問を提起している(ホワイトハウス側は12日にトランプ氏が陰性判定を受けたと明らかにした)。

このような状況にもかかわらず、トランプ氏は再び選挙運動を始めた。マスクもつけず、支持者との接触を増やしている。選挙を勝利することへの熱望は、トランプ氏が大統領として新型コロナウイルスに対して取らなければならない厳格さと慎重さを失わせた。

米国は現在、新型コロナウイルスの状況が深刻な国の一つ。9日の一日の新規感染者が5万7千人を超えた。しかし、大統領は、自身の政治利益のために国民に新型コロナウイルスを無視するよう誘導しているのだ。このようなトランプ氏の振る舞いを見て、「神は滅亡を望む時、まず人を狂人にする」という言葉が想起される。

しかし、米国民は賢明だ。トランプ氏が新型コロナに感染したことを受け、「同情」よりも「責任」を問う声が多い。ABC放送と米紙ワシントン・ポストが11日に発表した最新の世論調査の結果によると、トランプ氏の支持率(42%)は民主党候補のバイデン氏(54%)に依然として10ポイント以上後れを取っていることが明らかになった。

 

問題は、トランプ氏の選挙状況が悪くなればなるほど、米政治がさらに混乱し、共和・民主両党の衝突が激しくなるということだ。

実際に、トランプ氏を支持する白人至上主義団体「プラウド・ボーイズ」は最近、メンバーに武器を集めて「南北戦争」に備えるよう危険な発言をしている。トランプ氏は保守勢力の結集に向けて、エイミー・バレット連邦最高裁判事を指名した。

このように米内の政治が混乱すると、東アジア安全保障まで危うくなる。

トランプ氏は、責任回避のために新型コロナウイルスを「中国ウイルス」と呼ぶなど侮辱的な発言をしている。また、自分だけが中国に対抗できると主張している。しかし、トランプ氏が中国に迫れば迫るほど、中国が妥協しないことは明らかだ。

米国の戦略共同体は、中国が新型コロナの早期収拾に成功し、国家的な力で米国を追撃する機会を与えないようにするだろう。米国が最近、インド太平洋司令部の軍事的優位を利用して、対中軍事脅威を強化するのもこのような理由だ。そのうえ、米国は政治的意図を持って、台湾、香港、新疆ウイグル問題で中国に迫るだろう。

ただでさえ、米国と中国は貿易、科学技術、社会、文化など全分野で鋭く対立している。ここに新型コロナウイルスと米内の政治状況が重なり、ワシントンと北京の関係悪化を加速させている。

来月3日の米大統領選の結果は、東アジア局面の重要な転換点になるだろう。トランプ氏が再選に成功すれば、米中関係は困難になる。バイデン氏が勝利しても、米中関係が早期に改善されることはないが、少なくとも狂気に突き進むことはないことは明らかだ。