日本政府が国内外の圧倒的な反対世論にもかかわらず、9年前の爆発で稼動が停止した福島第一原発の処理済み汚染水を海に放出することを事実上、確定した。日本は、「汚染水を浄化処理して希釈すれば、安全に問題はない」と主張する。しかし、地元の漁業者や韓国などの周辺国は「浄化処理しても一部の放射性物質は現在の技術では取り除けない」と強く反発しており、相当な物議を呼ぶことが予想される。
●速戦即決の意思を明らかにした日本、放出は2年後
16日、毎日新聞や読売新聞などは、政府は「早ければ月内にも関係閣僚会議を開き、正式に決める方針だ」と伝えた。関係閣僚会議が開かれる27日か30日が有力視されている。主務長官の梶山弘志経済産業相も、16日の閣議後の会見で、「いつまでも先送りできない」とし、「政府が責任を持って結論を出していきたい」と述べた。
2011年3月の東日本大地震による爆発事故後、原子炉内の核燃料を冷やした水に雨水や地下水が流入し、福島第一原発では毎日170~180トンの汚染水が発生している。日本はこれまで、これを多核種除去設備(ALPS)で処理し、原発敷地内のタンクに保管してきた。先月17日までにタンク1040個、123万トンの汚染水がたまっており、2022年10月にタンクが飽和状態(137万トン)になるため、早く処理しなければならない状況だ。
日本は莫大なコストがかかる追加保管、環境破壊論議が大きな大気放出の代わりに、最も手軽な方法とされる海洋放出を選ぶために、直接的な言及は控えながら水面下の世論戦を繰り広げてきた。ALPSで処理した水を「汚染水」ではなく「処理水」と呼ぶのもその一環だ。
昨年9月、原田義昭環境相(当時)は、内閣改造による退任の前日に、政府関係者では初めて海洋放出を取り上げた。原田氏は、「思い切って放出して希釈するしか方法がないと思っている」と述べた。菅義偉首相も、就任直後の先月26日に福島を訪れ、「できるだけ早く政府として責任を持って処理方針を決めたい」と明らかにした。
汚染水の実際の海への放出の時期は今月末の最終決定で2年後になるとみられる。放出計画に対する原子力規制委員会の審査と承認を得て、放出設備を備えるのに時間がかかるためだ。
●安全性の懸念にもかかわらず現実的に阻止する方法がない
日本のこのような計画を批判するのは安全性が懸念されるためだ。福島第一原発を所有する東京電力が、2018年に浄化処理を終えた汚染水89万トンを調査した結果、84%にのぼる75万トンに排出基準値を超えるセシウム、ストロンチウムなど放射性物質が含まれていた。環境専門家たちも、現在の技術ではALPSで処理しても、放射性物質「三重水素(トリチウム)」は除去できないと指摘する。
福島の漁業者は15日、梶山氏を訪れるなど海洋放出に反対した。しかし、政府が強行の意向を明らかにし、茫然自失の状態だ。福島県いわき市のある漁業者は16日、東亜(トンア)日報の電話取材に対して、「もう外国に福島の水産物を食べてほしいと言えない状況になった。日本だけでなく韓国など周辺国の海にも影響を及ぼすだろう」と懸念を示した。
韓国外交部は16日、「韓国国民の健康と安全の保護を最優先の基準とし、日本側の汚染水処理の活動を注視し、国際社会と協力して措置を講じていく予定だ」と明らかにした。政府はこれまで国務調整室を中心に関係省庁会議を次官級に格上げし、政府をあげてこの問題を議論してきたが、国際社会の同調がない状況だ。政府関係者は、「太平洋の国家だけでなく米国やカナダも反応がない。問題を提起するのは韓国だけだ」と述べた。他国も汚染水を海洋放出しており、非難する大義名分がないためだ。汚染水の海洋放出は該当国の主権の領域なので、特定の方法を強要できない面もある。日本に関連情報を透明に公開するよう迫ることが現実的な方法と指摘されている。
東京=キム・ボムソク特派員 チェ・ジソン記者 bsism@donga.com · aurinko@donga.com