トランプ米大統領と民主党大統領選候補のバイデン前副大統領が22日(現地時間)に行われた最後のテレビ討論会で、北朝鮮政策をめぐって激突した。両者は第1回討論会とは違って、割り込みや不規則発言なく落ち着いたムードの中、新型コロナウイルスへの対応や、外交政策、人種などの6つのテーマについて激論を繰り広げた。
●トランプ氏、「正恩氏とは良い関係」vs バイデン氏「正恩氏は悪党」
南東部テネシー州ナッシュビルで、NBCニュースアンカーのクリステン・ウェルカー氏の司会で行われた第3回テレビ討論会で、北朝鮮政策についての両者の見解の相違が浮き彫りになった。
トランプ氏は、「北朝鮮が史上最大規模の大陸間弾道ミサイル(ICBM)を公開し、核兵器の開発を続けることを裏切りと考えるか」という質問に、「核戦争が起こる可能性もあったが戦争はなかった」とし、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長と良い関係を維持してきたと答えた。また、「北朝鮮問題はめちゃくちゃだった。(私の就任)当初の3ヵ月は本当に危険な状態だった」とし、自身が正恩氏との関係改善で緊張を和らげたと主張した。トランプ氏は、北朝鮮との戦争を防いだと自賛する際、ソウルの人口を3200万人と誤って言及した。
一方、バイデン氏は正恩氏を3度「悪党」と呼び、「大統領は北朝鮮を正当化し、悪党と対話した」と非難した。正恩氏との首脳会談の前提条件を問われ、「韓半島の非核化を実現するため、正恩氏が核開発のレベルを下げることに合意すること」と強調した。強硬な対北朝鮮原則論を維持すると共に、自身が当選すれば、北朝鮮の非核化措置の程度によって米朝首脳会談の可能性もあるということだ。
トランプ氏は、オバマ前政権でも正恩氏との首脳会談を推進したが拒絶されたと主張した。「彼(正恩氏)はオバマが好きではなかった。首脳会談をしようとしなかった」とし、自分だけが正恩氏と会談できる指導者であることを強調した。これに対してバイデン氏は、「我々はヒットラーが欧州を侵略するまで友好関係にあった」と一蹴した。
トランプ氏が中国で銀行口座を持っていたとする報道と関連して、「ビジネスのために口座をいくつか持っている。中国の口座は大統領選挙への立候補より前に閉じた」と説明した。バイデン氏は、息子のハンター氏がロシアと中国から金銭を受け取ったというトランプ氏の疑惑提起に、「いかなる国家からも一銭も受け取っていない」と反論し、「大統領選に介入しようとするいかなる国も必ず代価を払うことになるだろう」と警告した。
●トランプ氏の「模範生」モードで落ち着いた政策討論
両者は、討論序盤から互いを激しく攻撃した。新型コロナウイルスの対応と関連して、トランプ氏が「私たちは峠を越え、新型コロナウイルスと共に生きることを学んだ」と述べると、バイデン氏は22万人の死者が発生した現状を指摘し、「私たちはコロナとともに死んでいくことを学んでいる」と述べた。バイデン氏は、「こんなにも多くの死に責任ある人物が大統領にあり続けるべきではない」と主張した。トランプ政権が南部国境の不法移民の子どもを強制的に親から引き離したことを「犯罪行為」と攻撃した。トランプ氏はバイデン氏に対して、「47年間の政治人生で言葉だけで行動はなかった」と批判した。
今回の討論は、「大荒れ」と指摘された先月末の第1回討論会に比べて、静かでスムーズに進められた。トランプ氏は、バイデン氏の発言をメモして傾聴し、露骨な割り込みはなく、司会者に「よければ、追加で答えてもいいか」と尋ねる場面もあった。米紙ワシントン・ポストは、「(各テーマに2分ずつ)候補の冒頭発言の時間に割り込むことができないようマイクの音を消したことで、今回は事案に対する両者の鮮明な見解の相違を確認することができた」と伝えた。
CNN放送が、討論会の直後に実施した世論調査の結果、バイデン氏が討論で勝ったという回答が53%、トランプ氏は39%だった。世論調査会社ユーガブの調査でも、バイデン氏(54%)がトランプ氏(35%)より優勢だった。
ワシントン=イ・ジョンウン特派員 ニューヨーク=ユ・ジェドン特派員 lightee@donga.com · jarrett@donga.com