Go to contents

時間を戻す「若返りの技術」を発見

Posted November. 27, 2020 09:13,   

Updated November. 27, 2020 09:13

한국어

韓国の科学者たちが、老いた皮膚細胞の一部を若い細胞に戻す「若返り」技術の開発に成功した。細胞の老化を遅らせ、老人性疾患を抑制できる治療剤や化粧品の開発に役立つものと期待される。

KAISTバイオ脳工学科のチョ・グァンヒョン教授とアン・スギュン研究員、アモーレパシフィック技術研究院チームは、人間の老化した皮膚細胞の一部を若い細胞に戻す逆老化技術をコンピュータシミュレーションで開発したと、26日明らかにした。

老化とは、生命体が時間が経って生存と生殖に必要な生理的機能が低下する自然な生命現象だ。DNA損傷が蓄積したり、がん誘発遺伝子が活性化するなどの理由で、細胞が増殖を止めていく「細胞老化」が累積して現れる。この過程で、がんのような老人性疾患にかかって身体機能が低下し、死亡率も上がる。

最近になって、科学者たちは、老化に逆らって体を若返らせるために細胞を増殖可能な状態に変える「細胞逆老化」技術について研究している。細胞の老化を戻す戦略として「逆分化」技術が最も広く研究されている。逆分化とは、皮膚細胞のように特定の体の組織に育った細胞に、「山中転写因子」と呼ばれるタンパク質4種を追加して、特定細胞に分化する前の若い状態に戻す技術だ。古い細胞を若い細胞に戻すことはできるが、効率が低く、とんでもなくがんを誘発する副作用が現れて、まだ広く活用されてはいない。

チョ教授チームは、3つの層からなる人体皮膚の中で最も厚い「真皮」の上部に存在する「繊維芽細胞」の中の蛋白質数十種に注目した。繊維芽細胞は、まるで建物のセメントのような細胞間の空間を満たして細胞を繋ぐコラーゲンなどの物質(細胞外基質)を生産する細胞だ。研究チームは、コンピュータシミュレーションを用いて、繊維芽細胞の中のタンパク質がどのように信号をやりとりして機能を実行するかについてモデルを作った。

研究チームは、再びこのモデルをもとに、「PKD1」というタンパク質が皮膚細胞の老化に重要な役割を果たしている事実を確認した。「PDK1」は、タンパク質の合成と細胞成長を調節するエムトール(mTOR)蛋白質と免疫誘発物質であるサイトカインの生成に関わるタンパク質(NF-kB)を制御する機能をする。

研究チームは、人の真皮繊維芽細胞と、これを用いて作った立体人工皮膚を用いてPDK1遺伝子を抑制する実験を行った。その結果、老化した皮膚組織で減少していたコラーゲンの合成が増えて再生能力が回復し、若い皮膚組織の特性が現れることを確認した。

チョ教授は、「これまで、老化は逆らえない現象だと考えられていたが、今回の研究で、老化も戻すことができる生命現象である可能性を確認した」とし、「健康寿命を延長し、老人性疾患を予防する治療技術の開発に役立つだろう」と話した。

アモーレパシフィック技術研究院は、この技術を応用して、ツバキエキスからPDK1の抑制成分を抽出して、老化した肌のしわを改善する化粧品を開発している。研究結果は、今月18日に国際学術誌・米科学アカデミー紀要(PNAS)に発表された。


ユン・シンヨン東亜サイエンス記者 ashilla@donga.com