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「都市は直接広げて読んでこそ本当の姿を見せる分厚い物語の本のようだ」

「都市は直接広げて読んでこそ本当の姿を見せる分厚い物語の本のようだ」

Posted December. 10, 2020 08:21,   

Updated December. 10, 2020 08:21

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当然のように思っていた存在の価値は、失ってみればそれが分かる。昨年の今頃のように、個人の選択と判断によって、自由に海外旅行ができる日が果たして訪れるだろうか。その願いが遠のくほど、国境を越えた旅行談が書かれた踏査記の代理満足も有用になる。

夫婦建築家のノ・ウンジュ、イム・ヒョンナム・カオン建築共同代表が最近出した「都市人文学」(人物と思想史)は、都市という表題の下、該当空間と緩い連結の輪を持った多くの物語をまとめた本だ。雑学に詳しい建築家の友人と気軽に向かい合ってコーヒーを飲みながら、彼が話す都市の物語を聞いているような気分を伝える。

米シアトル、オランダのSchijndel、日本の直島など、本で紹介した13カ国・21都市について、イム代表は電子メールでのインタビューで、「建築的価値よりは個人的に興味深く記憶している都市、人々に聞かせる面白い物語がたくさんある都市を選んだ」と話した。

「人々は都市に住みながら都市を呪う。自然との対極点で、非人間的で有害なシステムで都市を眺める不思議な二分法を適用する。しかし米国の建築家・ルイス・カーン(1901〜1974)は、『良い都市は、街を歩く少年に今後自分が何をしたいかを悟らせる空間だ』と話した。都市は直接読んでこそ、真の姿を見せてくれる分厚い物語の本のようだ」

長い間行ってみたいと願っていた都市でも、実際に体験する旅行では十分に泊まる余裕がない場合が多い。著者らも、普通の異邦人と同様、団体見学や業務出張、何とか暇を作って予約したパッケージツアーを活用した。トルコ・コンヤの商人たちの憩いの場である「スルタンハン・キャラバンサライ」は、パッケージツアーバスが移動する途中、20分の停車時間に乗じて、急いで走って見てきた場所だ。

「大理石を削って積み上げた小さな城塞のような長方形建築物の広々とした中央庭園の真ん中に、島のようにそびえ立つ直六面体のキオスクモスク(イスラム祈祷室)がある。この建物は、1229年にシリアの建築家・ムハンマド・イブン・カルワン・アルディマシュキによって建てられたという。歴史上の記録ではなく、シルクロードの実在の痕跡を目で確認し、触れることができる空間だった」

イム代表は、「都市の構造は、数時間の層位が重なってできたものだ。足で体験しながら、その裏の秩序を読むことはいつも興味深い。もう一度旅に出ることができたら、エーゲ海沿岸地域の旅行者の少ない都市に長く滞在しながら、トルコ・エフェソスの図書館遺跡地を訪れてみたい」と話した。


孫宅均 sohn@donga.com