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奇怪な目、ゆがんだ顔… 「ダークポップ」の巨匠がやってきた

奇怪な目、ゆがんだ顔… 「ダークポップ」の巨匠がやってきた

Posted December. 11, 2020 08:57,   

Updated December. 11, 2020 08:57

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今年の米大統領選挙にも出馬したヒップホップミュージシャン・カニエ・ウェストの2010年のアルバムの表紙には、この作家の絵が描かれている。陰惨な気運を醸し出す緑色の背景に、ワイングラスを持ったバレリーナが怯えたような表情をしている。体は人間だが、目は漫画のキャラクターのようで、人間なのか動物なのか分からない。米作家・ジョージ・コンド(63)の作品だ。

ウェストとのコラボ後、ウェストの妻でソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)スターのキム・カーダシアンのエルメス・バーキンバックに絵を描き、ストリートファッションブランド「シュプリーム」と一緒にスケートボードを作ったコンドは、画家というよりセレブのようにも感じられた。このような人気のおかげで、韓国にもマニアが少なくないコンドの作品20点あまりが韓国に来た。ソウル城東区(ソンドング)ザ・ペイジギャラリーの「ジョージ・コンド」展では、彼の大型絵画作品とドローイング、青銅彫刻が展示される。

米ニューハンプシャー出身のコンドは、ニューヨークを中心に活動している。会場に展示された絵画のうち、最も最近の作品である「Red and Green and Purple Portrait」(2019年)は、彼の自画像だ。漫画のように奇怪で大きな目、神経質になっているような歯、視点がそれぞれ違って歪んだ顔、怒ったように引いた黒くて太い外郭線は、コンドの典型的なスタイルだ。彼は現在、ニューヨークでも個展を開いているが、自分の最近の絵について、「米国を分裂させる不平等に関する作品だ」と説明した。

このようなスタイルの肖像画は、2010年も見られた。コンドは、英女王を芸人のようなキャラクターで描写した作品を英国の「テイトギャラリー」に展示する。当時、インタビューでコンドは、「女王のヌードを描きたかったが、英国法が禁止されているためできなかった」と冗談交じりに言った。

このように大衆に馴染みのある人物を素材に社会とのつながりを探すのは、アンディ・ウォーホルがマリリン・モンローを描いたように、米ポップアーティストたちの典型的な戦略だ。コンドはとあるインタビューで、ウォーホルの「ファクトリー」で助手を務め、ジャン=ミシェルバスキアやキース・へリングとは親しい間柄だったことを明かした。ウォーホルが死んだとき、彼のベッドの横には、コンドの絵が置かれていたという。

会場で見られる2009年の作品(「Choo Choo」「Michael J. Frog」「Daffy Duck」)では、ウォーホルの影響も見られる。絵の中の主人公は、漫画キャラクターの姿をしている。コンドは、キャラクターのくちばしを二つ描いたり、背中から口が伸びてくるように形を歪曲して陰鬱な雰囲気を造成する。カニエ・ウェストのアルバムタイトル「私の美しく暗くてねじれたファンタジー」(My Beautiful Dark Twisted Fantasy)が、コンドの作品ともぴったり合う理由だ。

2005年に描いた小さな絵は、コンドがメンフィス地域に滞在して作業したものだ。自分が通ったレストラン、スーパーマーケット、公演場などを日記のように記録後、正方形キャンバスに記号化して盛り込んだ。バーベキューを食べた「Bozo's Bar-B-Q」、ビールを飲んだ「グリーンビートル」、公演を鑑賞したアーティスト「アル・グリーン」がキャンバスに収められた。ニューヨークでコンドと同時代に活動したバスキアの作品と比べてみても面白そうだ。展示は来年1月23日まで。


金民 kimmin@donga.com