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シリコンバレーの天才に干渉すると

Posted December. 28, 2020 08:21,   

Updated December. 28, 2020 08:21

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「新型コロナ」が長期化して、私たちの生活の多くの部分が変わった。社会的距離置きやマスクをつけることなど、様々な変化が「ニューノーマル」として定着した。企業の仕事ぶりも変わった。特に在宅勤務と遠隔勤務の割合が高くなっている。オンライン決裁やテレビ会議が日常化し、仕事をする地理的空間はかつてほど重要ではなくなった。「新型コロナ」が終息しても、組織運用のパラダイムを過去に戻すことは難しいだろう。

重要なのは企業の認識変化だ。「ニューノーマル」が組織に定着するためには、統制ではなく自主的方法で人材を管理しなければならない。在宅勤務が広がり、職員らが自宅できちんと働いているのか、もし、別のことをしていないのかが知りたい管理者や経営者が多いだろう。しかし、職員を監視して統制しようとすれば、ニューノーマルは何の意味もなくなる。経営者は開放的なマインドを持ち、社員たちが自由に思考して働けるように放っておかなければならない。業務時間にゲームをしても、本を読んでも、友達に会っても、子どもと一緒に遊んでも干渉してはならない。

オンラインで決裁したり、テレビ会議をしたり、プロジェクトを推進しても業務の効率性が大きく落ちないという事実が、今や経験的に立証されている。コロナが終息しても、このような流れは続くだろう。いたずらに職員らを拘束しようとすればするほど、彼らはじっと上司の機嫌を伺うため、斬新なアイデアを出すことが難しくなる。

では、コロナ時代にどのように組織を運営すべきか? 周易の知恵を借りてみよう。周易の64の「卦」のうち、組織の原理を扱う「天火同人卦」には「同人于宗吝」という爻辞(占うらないの卦)がある。これは「組織を種族に限定すればケチになる」という意味だ。組職を種族に限定するということは、純血主義、組職利己主義に埋没し、組職を過度に閉鎖的に運用するという意味だ。組職を狭い枠に閉じこめては革新ができないというのが周易の教えだ。

スティーブ・ウォズニアックは、スティーブ・ジョブズと1976年、アップルを共同創業した人だ。氏は、「ホームブリュー・コンピュータ・クラブ」というコンピューター同好会で活動しながら、個人向けコンピューターであるアップルの設計図を描いた。当時、コンピューター大手のヒューレットパッカード(HP)の社員だった彼は、会社の経営陣に何度もパーソナルコンピューター事業を提案したが、断られた。結局、ウォズニアックはHPを離れ、コンピューター同好会で会ったジョブズと共に、アップルコンピューターを立ち上げた。我々がよく知っているように、アップルは世界最高の電子メーカーになった。HPは偏狭な考え方で不世出の天才を失った。

すなわち、革新は閉鎖的な既成組織よりは開放的な組織でより容易に起きる。ウォズニアックとジョブズのコンピューター同好会のように、同じ志を持つ人たちが集まった同人組織が革新の源になれるのは、その組織の中に込められた開放性と進取性のためだ。

もしウォズニアックが別に起業するよりは、会社に残って、密かに会社の資源を活用して自分のアイディアを具現しようとしたなら、どうだったのだろうか。これに関連する周易の一節は次のとおりである。「伏戎于莽升其高陵三歲不興」だ。これは、「武器を生い茂った森に隠して高い丘に登る。3年の歳月が経っても栄える兆しがない」という意味だ。良いアイデアがあったとしても、ウォズニアックは心理的プレッシャーや不安のため、きちんとした製品を作ることができなかったのだろう。

企業経営者は、社員を広い空の下、野原で燃え上がるたいまつのように自由に置かなければならない。そうしてこそ、考えを共にする人(同人)たちに会って開放的に思考できるようになり、これを通じて革新を作り出すことができる。職員が在宅勤務の「家に閉じこもって」いるからといって革新できないわけではない。シリコンバレーの天才たちは、誰も干渉しない倉庫に集まって革新を夢見、ついにそれを現実にした。