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テスラはなぜパンデミックに強かったのか

テスラはなぜパンデミックに強かったのか

Posted January. 05, 2021 08:30,   

Updated January. 05, 2021 08:30

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昨年、ネットフリックスのドラマ『エミリー、パリへ行く』を楽しく視聴した。ストーリーは雑で、主人公のファッションは「ブランド品でもやぼったいな」と感じるほどだったが、目を離すことはできなかった。フランス・パリの美しい姿が含まれていたためだ。旅行に行けない鬱憤を慰める「LAN線旅行」おかげで、このドラマはネットフリックスで人気順位に上がった。

 

自宅の部屋「英王室旅行」が可能な『ザ・クラウン』シーズン4も、ダイアナ妃の登場後、人気が急騰している。新型コロナウイルスの感染拡大の中、ドラマを通じてでも憂鬱な現実の向こうの夢を探すようになる。

株式市場でもそうだ。多くの投資家は現実の向こうの未来に希望をかけた。代表例がテスラだ。この1年間、株価がなんと743%も急騰した。テスラの昨年末基準の時価総額(約727兆ウォン)は、フォルクスワーゲン、トヨタ、日産、現代自動車、ゼネラルモーターズ(GM)、フォード、ホンダ、フィアット・クライスラー、プジョーなど9社の合計よりも高い。テスラの「現在の価値」がこの程度であるわけではない。トヨタが昨年上半期(1~6月)だけで416万台を売った時、テスラは去る1年間で売った台数は50万台だ。

 

国内のあるテスラの株主は、「テスラは去年のクリスマスにクラクションの音を自由に変えることができるソフトウェアをアップデートした。車外で『リーン、離れてください』と声も流すことができる」とし、「これまでの車を越える何かがテスラの未来を確信させる」と話した。

テスラの未来を夢見る情熱的なファンと数字を見る分析家の見解の相違は大きい。証券会社の間でも目標株価は千差万別だ。テスラの昨年末基準の株価は705ドル。JPモーガンは「劇的な過大評価」とし、12ヵ月後の目標株価を90ドルと提示した。ゴールドマンサックスは780ドル、RBCキャピタルマーケットは339ドル。実際には誰も分からないということだ。

昨年のさらなるスター企業はアップル。テスラが株価上昇率世界1位なら、アップルは時価総額の増加額1位だ。1年間になんと1兆ドル(約1086兆ウォン)増加した。1兆ドルは、韓国の年間貿易規模に相当する。アップルはテスラのように情熱的なファンがいるだけでなく、10年以上モバイルの世の中を支配し、「信じられる企業」と無限の信頼を得た。韓国国内でも個人投資家が無限の信頼を送ったサムスン電子の株価が急騰した。英フィナンシャル・タイムズが選んだ「2020時価総額増加額トップ10」のうちサムスン電子はアップル、アマゾン、テスラ、マイクロソフト(MS)、アルファベット(グーグル)、テンセント、TSMC、フェイスブック、エヌビディアに続いて10位だった。

情報技術(IT)企業の成長と豊富な流動性を考慮しても、テスラ、アップルのような企業の株価は驚くべきだ。現実の景気との相違があまりにも大きいからだ。ソウル明洞(ミョンドン)、ニューヨークのタイムズスクエア前の商店が次々と閉店している。米国ではニーマン・マーカスのような大手百貨店やジェイクルーのようなファッション大手も破産申請をした。新型コロナウイルスの一年間、多くの人々が一時代の終わりを体感し、現実より未来の希望に大きな価値を置いているのではないだろうか。

 

新年にも、どの分野であれ希望を追い求める傾向は強くなるだろう。現実の欠乏は、見えない未来に対する欲望を呼ぶものだ。


金玹秀 kimhs@donga.com