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プロファイリングの威力、行方不明の認知症高齢者を1時間で発見

プロファイリングの威力、行方不明の認知症高齢者を1時間で発見

Posted February. 04, 2021 09:33,   

Updated February. 04, 2021 09:33

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「母と一緒にサウナに行って外に出た瞬間、母がいなくなりました。認知症を患っているが、いくら周りを見ても見当たりません。今母の写真も持ち合わせていないのに…」

先月31日午前10時50分頃。受話器の向こうから聞こえてくる声は切なかった。重症の認知症を患っている母親のAさん(81)を、麻浦区桃花洞(マポグ・トファドン)のサウナの前で見失ったという息子のBさんの通報だった。

ソウル麻浦警察署の龍江(ヨンガン)交番に電話をかけたBさんは、心配しすぎたせいか、気が気でなかった。Aさんの容貌や身なりを尋ねる質問にも、涙ぐむだけで、「よく分からない」と答えた。携帯電話も持っていないAさんに関する手がかりは、「午前9時半ごろ行方不明になった」ということだけだった。

この時、行方不明届けが寄せられた警察が思い出したのが、「警察庁プロファイリングシステム」だった。早速システムにアクセスしてAさんの名前を入力したら、ちょうど2013年に家族が登録しておいたAさんの写真と詳細な個人情報が出てきた。Bさんに確認手続きを踏むと、「そうだ。わたしの母に間違いない」という答えが返ってきた。

警察は直ちに、該当写真を管内のパトロール車両3台に伝え、周辺の聞き込みを要請した。一般的に失踪事故は、時間が経つにつれて所在を確認することが難しい。幸い、素早い情報把握のおかげで、警察は受付地域から約1キロ離れたあるマンションの商店街でAさんを見つけた。行方不明届けから約1時間後だった。

警察庁が認知症老人や知的障害者、18歳未満の子供などの身元情報を事前に登録して、行方不明者の捜索に使っているプロファイリングシステムが、最近、とある行方不明事故で大きな力を発揮した。龍江交番の関係者は、「行方不明者の捜索は1分1秒が勝敗を左右するほど時間との戦いだ。Aさんはプロファイリングのおかげで、時間を稼いで無事に家族のもとに帰ることができた」と話した。

しかし、警察庁のプロファイリングシステムは導入されて久しいのに比べ、登録された認知症患者は多くない。警察によると、登録リストのかなりの数が子供だ。昨年12月基準で、全体認知症患者61万2724人のうち、該当システムに指紋や写真などを登録した人は16万6126人(27.1%)に過ぎない。

一方、認知症患者の行方不明通報は日増しに増えている。2015年は9869人だった通報件数は、昨年は1万2272人へと大幅に増加した。先月12日午後5時ごろ、忠清北道清州(チュンチョンブクド・チョンジュ)で行方不明になった認知症4級のキム某さん(67、女)は、10日後死亡した状態で発見された。清州清原(チョンウォン)警察署側は、「キム氏はプロファイリングシステムに個人情報を事前に登録せず、苦労した」とし、「システムには該当人物の動線や行動の特性なども含まれており、行方不明者の捜索に大きく役立つ」と伝えた。

ソウル女子大学社会福祉学科のチョン・ジェフン教授は、「高齢化は韓国社会の緊急問題であり、認知症高齢者数は今後も増え続けるだろう」とし、「地域認知症安心センターと連携して、重症認知症高齢者は個人情報を事前に登録する『訪ねていくサービス』を行うのも一つの方法だ」と助言した。警察庁の関係者も、「中央認知症センターなどと協業して、事前登録比率を高めていく方針だ」とし、「何よりも認知症患者家族たちの積極的な参加が切実だ」と要請した。


キム・ユンイ記者 イ・ソヨン記者 yunid@donga.com · always99@donga.com