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繰り返される警戒失敗、海洋警察に海岸警戒を押しつける軍

繰り返される警戒失敗、海洋警察に海岸警戒を押しつける軍

Posted February. 24, 2021 08:13,   

Updated February. 24, 2021 08:13

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脱北男性が16日、東海岸で38度線を越えた時、警戒用監視カメラに10回捉えられたが、軍は8回も無視した。警報音も2回鳴ったが、何の措置もなかった。9、10回捉えられた後も31分も経過して最初の報告がなされた。合同参謀本部が23日に発表した軍検閲団のいわゆる「水泳亡命」事件現場の調査結果だ。このような警戒失敗にもかかわらず、軍当局は海岸警戒任務を海洋警察に任せるための細部計画を年末までに設ける計画だという。

 

合同参謀本部の発表は、軍の総体的な警戒失敗と綱紀の緩みを如実にうかがわせる。監視装備の運用から初動措置と報告体系、警戒施設の管理などどれ一つまともになされていなかった。亡命者が海岸に上がって、民間人統制線の監視装備で識別されるまで3時間以上、警戒網に穴が空いていた。識別後も30分以上、マニュアルによる状況伝達を先送りした。さらに亡命者が通過した海岸鉄柵の排水路は、管轄部隊がその存在すら知らなかった。昨年7月の脱北者の「排水路越北」後、付近の点検指示が下されたが、該当部隊は点検しなかったのだ。

 

今回の警戒の失敗が状況室幹部や映像監視兵、衛兵所勤務者の誤りのせいだが、軍全般に蔓延した綱紀の緩みと決して無関係ではない。勤務将兵らは2度の警報音を誤作動で片付け、最初の識別後も部隊幹部だろうとし、措置を先送りしたという。軍内部の緊張が緩みきった状態で、「大したことでもないのに騒ぐのはやめよう」という安易な認識まで重なり、呆れた対応となったのだ。

状況がこうであるにもかかわらず、軍当局は海岸警戒任務を海洋警察に転換する計画を加速する方針だ。15年前の南北関係の改善と兵力縮小の基調に合わせて推進された任務転換計画だというが、これまで安保条件の悪化で転換時期が何度も延期になった。さらに「木船亡命」、「ボート密入国」に続き「水泳亡命」まで起こり、弱点が露呈した場所に人員と能力で劣る海洋警察に任せる場合、海岸警戒の穴はさらに大きくなるほかない。

軍の対北朝鮮警戒は、科学化警戒システムなどの監視装備に任せている。いくら最先端でも警戒心が緩んだ状態では、どのような警報音も面倒で煩わしい騒音にすぎない。軍は今回も「換骨奪胎の覚悟で、抜本的な対策を推進する」と明らかにした。今後を見なければならないが、軍が崩れた綱紀から引き締めない限り、国民の不信をしずめることはできない。今、国民は軍の存在理由を問うている。