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「全国民老後資金」の運用、株式投資家の顔色をうかがってはならない

「全国民老後資金」の運用、株式投資家の顔色をうかがってはならない

Posted March. 27, 2021 08:08,   

Updated March. 27, 2021 08:08

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国民年金の最高議決機構である基金運用委員会が昨日、韓国内株式の投資割合を高める案件を議決した。国民年金が韓国企業の株をもっと買えるようにしたのだ。連日、国内株式を売る国民年金を、株式市場活性化の足かせと見る東学アリは歓声を上げた。しかし、国民年金が人気に迎合する選択をしたという批判は避けられなくなった。

国民年金は毎年5月、資産別の割合を調整し、年末にこの水準に合わせる。昨年決めた国内株式の保有範囲は14.8%から18.8%だった。しかし、株価が高騰し、昨年末、運用資産833兆ウォンのうち国内株式の割合が21.2%まで高くなった。そのため、今年に入り、15兆ウォン分を売り、10兆ウォンほどさらに売らなければならない状況だった。ところがこの日、この範囲を13.3〜20.3%に広げ、かえって11兆ウォン程度を追加で買い付ける余地を作った。

個人投資家らは、国民年金が証券市場に水を差していると、大統領府の請願などを通じて糾弾してきた。このような状況の中、国民年金は例年より2カ月繰り上げて基金運営委を開き、投資比率を調整した。2023年までに国内株式を15%に減らし、海外株式を30%に増やす計画だった中期資産配分計画とも反対だ。「市場変化に対応した決定」というが、その説明をそのまま信じる人は多くない。すでに金融委員会が、東学アリと政界に押されて3月に予定されていた空売り再開時点を4月7日の補欠選挙後の5月に遅らせたためだ。

半導体、電気自動車バッテリーなど世界的成長産業で韓国企業が善戦しており、国民年金の国内株式投資を増やさなければならないという主張も少なくないのが事実だ。しかし、国民的共感なしに、選挙を目前に控えて国内株式の比率を高めたのは誤解を招きかねない。少子高齢化で国民年金は2030年ごろから資産を売って年金を支給しなければならないが、今増やした国内株式が、その時は株価急落を誘発する「爆弾」になりかねない。

国民年金の主人は国民だ。老後に返してもらうために、所得の一部を取って管理を任せただけだ。国民年金の運用は、長期的に収益を増やして約束した年金を支障なく支給し、2055年と予想される枯渇時期を最大限遅らせることだけに集中しなければならない。