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「パンデミックと人工知能を題材に、同時代のSOSにスポットライト」

「パンデミックと人工知能を題材に、同時代のSOSにスポットライト」

Posted April. 08, 2021 08:14,   

Updated April. 08, 2021 08:14

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観客に考えさせるのが演劇の力なら、劇団イワサムの「シッティング・イン・ア・ルーム(Sitting in A Room)」は、かなり強力な作品だ。大学路(テハクロ)で有名なチャン・ウジェ氏(50)が書き、演出したこの作品は、パンデミックと人工知能(AI)、人間性などを客席に投げかける。チャン氏は、「同時代性」を掲げて創作劇を作っている。

11日までソウル鍾路区(チョンロク)の大学路芸術劇場で繰り広げられる劇は、近未来を扱うSF小説に似ている。昨年の第10回未来演劇祭で、ソウル麻浦区(マポク)の複合文化空間「杏花湯(ヘンファタン)」で初めて公開された後、第20回ワールド・デュオ・パフォーマンス・フェスティバルで最優秀作品賞、演出賞を受賞した。

チャン氏は6日、東亜(トンア)日報とのインタビューで、「同時代の問題を一言二言で定義することが難しかった。パンデミックですべてのことが吸い込まれるように大きな変化を経験する時に、小さいが二人芝居を通じて現在に光を当てたかった」と話した。題名の「シッティング・イン・ア・ルーム」は、部屋に閉じこもり、関係を結ぶ時代の断面を象徴する。チャン氏は、「最近、私たち皆が各自の部屋から切迫したSOSを送るかのようだ」と説明した。

ストーリーは多少複雑だが、興味深い。双子の姉妹ジェニーとジニーは、致命的な感染症で両親を失う。母親は、先に感染した父親を看病するために隔離を拒否し、共に死亡する。これに接した他人は、「無責任な母親」、「死を通じた真の愛」と交錯した反応を示す。10年の時が流れ、姉のジェニーも死に、一人で暮らしていたジニーは、ある日、ジェニーの恋人だったリアンから驚くべき話を聞く。亡くなった人をデジタル技術で生かす再現システムで、ジェニーを復元したというのだ。そして、プログラムの中のジェニーをアップデートしたいので、ジェニーに関する記憶と資料を提供してほしいと言われる。

チャン氏は、「私たちは自由のために、世の中に自身をますます最適化させなければならない逆説の中で生きている。ワクチンも打たなければならず、どこか常に接続していなければならない。AI技術にも適応しなければならない」と話した。また、「未来は良くても悪くても、劇を通じてでも心の準備をしなければならないのではないか」と付け加えた。作品には、国が炭素排出を防ぐために個人のデータ使用量を統制する端末機、亡くなった人を仮想で蘇らせる民間会社などSFの素材が多い。チャン氏は、「SFは芝居の道具にすぎない。チョン・ジェスン教授に科学の話を聞き、いくつかのセミナーで発表された未来の展望を聞いて、想像することを楽しむ」と話した。

 

SFで満たされた舞台は極めて単純だ。小道具は椅子2つ、テーブル1つ、スリッパ1足だけ。 左右11メートルほどの長さの舞台は空しく見える。ソーシャルディスタンシングを守るために役者たちは離れ、正面を見て台詞を言う。チャン氏は、「スペクタクルを完成するのは、結局は役者だ。必要なオブジェだけ慎重に書いた」とし、「環境、炭素排出問題にも触れる作品なので、小道具を使いすぎてはならないという責務もあった」と話した。

広い舞台は、声と映像が埋める。双子の姉妹を1人で消化するダブルキャスティングのチョ・ヨンヒ、シン・ジョンヨンは、一人二役のため、事前に台詞の一部を録音した。チャン氏は、「姉妹がセリフを交わす場面のため、劇団のオペレーターは録音した約800の台詞を再生する」と説明した。舞台の正面のスクリーンは、シーンごとに登場人物の顔を拡大して映し出す。チャン氏は、「次作で若者世代のうつ病を国家で管理するあらすじの戯曲を執筆している。一度は自問しなければならない話を書く」と語った。全席3万ウォン、15歳観覧可、02-3668-0007。


キム・ギユン記者 pep@donga.com