故李健熙(イ・ゴンヒ)コレクションの寄贈で、国立中央博物館や国立現代美術館は、所蔵作品のレベルを高めることになった。
美術館は、希少価値が高くコレクションが難しかった韓国の近代美術作品を大挙補強することになった。これは近代美術史の展示と研究に大きく貢献するものと見られる。発掘埋蔵文化財が大半だった博物館も、韓国の歴史時代の大半を網羅する絵画や工芸などの文化財をくまなく所蔵するようになった。寄贈品のイメージはデジタル化し、博物館や美術館のホームページに公開する予定だ。
遺族は2万3000点余りに上る美術品を故李健煕(イ・ゴンヒ)三星電子会長の遺志に従って寄贈することを決定し、文化体育観光部、国立中央博物館、国立現代美術館と話し合いを進めてきた。このため、李敍顯(イ・ソヒョン)三星福祉財団理事長が国立現代美術館後援会にも加入した。
李健熙氏はかつて、日本のオークラホテルの裏庭で、朝鮮王朝皇太子の勉強部屋である「資善堂」の基壇を購入し、政府に寄贈したこともある。寄贈を念頭に置いて、文化財収集に努めてきたという見方もある。氏は1997年に出版されたエッセイの中で、国立博物館を観覧した経験を紹介した上で、「相当な量の輝かしい韓国の文化財がいまだに国内外に散在しているのが実情だ。これらをどうにかして集めて国立博物館の地位を高めようとする努力が足りないと感じる」と指摘した。
李健熙氏は父親の故李秉喆(イ・ビョンチョル)三星創業主に続き、古美術だけでなく西洋美術など膨大なコレクションに興味を示してきたという。韓国現代美術の巨匠、イ・ウファン画伯は文芸誌「現代文学」3月号に寄稿した李健熙氏追悼文で、「李健熙会長は韓国の美術品の中でも作品の存在感や完成度が高いものを追求し、常に世界的な視野で作品を選別した」と振り返った。
孫曉林 aryssong@donga.com · 金玹秀 kimhs@donga.com