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ワクチンの知財権の一時免除に支持を表明したバイデン大統領、米国のリーダーシップを見せる機会だ

ワクチンの知財権の一時免除に支持を表明したバイデン大統領、米国のリーダーシップを見せる機会だ

Posted May. 07, 2021 07:30,   

Updated May. 07, 2021 07:30

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バイデン米大統領が6日、世界貿易機関(WTO)が新型コロナウイルスワクチンの知的財産権を保護する義務を一時免除することを支持すると明らかにした。米通商代表部(USTR)も同様の内容の声明を発表した。インドや南アフリカ共和国を含め100国余りの開発途上国が複製薬を生産することができるよう知財権の一時免除を提案したことによる。世界保健機関の(WHO)テドロス事務局長は、「米国の決定は新型コロナとの戦いにおける記念すべき瞬間」と歓迎した。

米国の発表は、韓国のようにワクチン不足を経験している国には恵みの雨のような知らせだ。世界人口の7割がワクチンを接種するには110億回分(2回接種基準)のワクチンが必要だ。しかし、ワクチンが一部先進国で制限的に生産され、需要に追いついていないうえ、先進国に供給が集中し、世界人口の8割を占める開発途上国が確保したワクチンは、全体量の3分の1にもならない。このため、集団免疫を目前にした米国とイスラエルは、コロナ感染者が急減しているのに比べ、接種率が一桁のインドでは毎日4千人に近い死者が発生している。知財権が一時免除されれば、ワクチンの生産量が増え、ワクチン格差も縮まるものとみられる。

しかし、直ちにワクチン生産の拡大を期待することは難しい。ワクチンの知財権免除は、後天性免疫不全症候群(AIDS)が猛威を振るった時に施行された極めて例外的な措置で、WTOの164の加盟国全員が同意しなければならない。知財権が免除になったとしても、巨額を投じてワクチンを開発した製薬会社が技術を十分に公開するかも未知数だ。政府は、WTOの決定がスピードを出すよう外交力を発揮する一方、ワクチンを生産する能力のある国内の製薬会社がこの機会にアジア圏のワクチン生産のハブになることができるよう支援を惜しんではならない。さらに、独自のワクチン生産に入った製薬会社が知財権の免除で被害を受けないよう、支援策も必要だ。

USTRは同日、声明で、「米国民のためのワクチンが確保された。ワクチン製造と流通の拡大に向けた取り組みを続ける」と明らかにした。開発途上国のワクチン不足が解消されない場合、コロナの終息は2年後になる見通しだ。米国はWTOの大胆で迅速な決定を主導する一方、ワクチン不足国家に対するワクチンの輸出・支援で、人類がコロナ危機を一日も早く克服できるようリーダーシップを発揮しなければならない。