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カフェは世の中の縮図

Posted May. 27, 2021 08:24,   

Updated May. 27, 2021 08:24

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カフェは出会いと休息、社交の場だ。多くの印象主義画家と同様、フィンセント・ファン・ゴッホも、カフェを何度も絵に含めた。しかし、この絵の中のカフェは、活発な社交の空間とは見られない。なぜか陰鬱で孤独に見える。ゴッホはなぜこのような姿を描いたのか。

絵の中のカフェは、南フランス・アルルにいた時、ゴッホが数ヵ月間、間借りしていた所だ。ゴッホは、この憂鬱な風景を表現するのに3日間を費やした。緑色の天井、赤い壁、黄色いガス灯と床などの補色の対比が強烈な室内は、上から下に見下ろす視角で描かれた。深夜0時を過ぎた夜更けだが、カフェにはまだ客がいる。中央のビリヤード台のそばに白い服を着たカフェのオーナーが立っていて、右のテーブルにいる2人の男は酔いつぶれて寝ている。左後方の男女は、宿を得る金がないのか、売春のために会ったのか、並んで座って酒を飲んでいる。その前に酔った1人の男も、ここで夜を明かしそうだ。金がなくて宿を得られなかった人や娼婦が夜中にやって来るこのカフェは、実際に「夜のカフェ」と呼ばれた。ゴッホはここを「夜の浮浪者」が暫し休む所と描写した。ゴッホもカフェで、飲み過ぎると幻覚作用を起こすとされる酒アブサンを好んで飲み、コーヒーとタバコを好んだ。ある時は、金がすっかりなくなり、4日間23杯のコーヒーだけで過ごした。だからだろうか。カフェが「人を破滅させることも、発狂させることも、犯罪に走らせることもできる」と考えた。

ゴッホはこの絵について、「夜のカフェが持つ青白い陰うつな力と地獄のような雰囲気を表現した」と説明した。破壊と狂気、愛と享楽、貧困と犯罪、孤独と陰うつなど様々な事情を持つ人々が夜に訪れるこのカフェは、ゴッホが眺めた千態万状の世の中の縮図ではなかったのだろうか。

美術評論家