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生きる理由を失った憂鬱なあなたへ

Posted May. 29, 2021 08:05,   

Updated May. 29, 2021 08:05

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小学校の友達の結婚式で、ある同期の悲しい死を伝え聞いた。自ら命を絶ったという知らせ。うつ病がひどくなって、極端な選択をしたのだろうという話だった。それほど親しくはなかったが、幼い頃、運動場で笑いながら遊んでいた友人の顔が思い浮かんで複雑な気分になった。

全てのうつ病患者が人生を諦めるのではないが、一部は自分の意志で人生にピリオドを打とうとする。著者は、生きていくうちに何度も人生を終えようとした。うつ病歴20年、引きこもり歴7年、自殺未遂歴10年…。この本は、著者が長い間うつ病と戦いながら書き下ろした記録だ。著者の表現を借りれば、うつ病を患っている人は「期限付きの人生を生きて」いる。いつ自ら人生を諦めるか、自分にも分からないからだ。

希望はある。うつ病の治療剤と相談治療など、現代医学はうつ病に対抗できる有効なツールとうつ病に関する知識を発展させてきた。病院に行かなくても、一般人にもうつ病について理解しやすいように手助けする本も何冊か出ている。

この本も、うつ病をより深く理解できるように書かれている。他の本は知識を伝えることに焦点を合わせるとすれば、この本は共感により大きな比重を置く。長い間うつ病を患ってきた著者の記録は正直だ。自殺の試み、自害、家族にまつわるエピソードなどをありのまま掲載した。厳しい状況の中でも、著者は薬物の助けなしにうつ病を正面から突破した。だからといって、この本が現代医学に不信感を抱いているわけではない。本人はさまざまな状況のため、病院には行かなかったが、できれば病院に協力してもらったほうがいいと話した。病院へ行きたがらない患者ほど、家族が代わりに病院治療を勧めなければならないとアドバイスする。

本の多くを薬物と医療陣の介入なしに一人でうつ病と対面し、効果を見た方法に割いた。いくつかだけ紹介すれば、スーパーで3つ買い物をすること、図書館を散歩すること、無料映画を何も考えずに見ること、自治体で運営する体験プログラムの受講などだ。韓国社会はうつ病についてあまり話さない雰囲気だが、著者はうつ病について率直に話を交わすことがうつ病の緩和に役立つと言う。

なお、うつ病患者が自ら立ち直れるように、家族や友人ができる実践についても助言した。介入するが、適当な線を守り、自分の心の健康も保つこと。周りの人がやるべきことだ。何より患者自らが生きたい気持ちにならなければならないと著者は言う。自ら命を絶つ行為は「家族への殺人」だ。死んだ人の苦痛は遺族と残りの知人に転嫁されるだけで、苦痛は消えないので、私たちは生きなければならない。死ぬ瞬間まで生きること、人間になった道理だ。

ソン・ミンギュ「イエス24」人文MD