「ドンシクさん、短い出会いだったけど大切だった。心の中に兄さんを抱えたまま『さようなら』という言葉であいさつします」
21日午前、京畿道広州(キョンギド・クァンジュ)市民体育館の告別式場。
広州消防署119救助3チーム長のハム・ジェチョル氏(49、消防尉)は震える声で、故キム・ドンシク広州消防署119救助隊長(53、消防領)に捧げる告別の辞を読み上げた。
ハムチーム長が、「同僚に間違ったことは言ってくださり、いつも愚直な姿を見せてくださった方だ」と故人を思い、「安らかに永眠されることを祈る」と言うと、参列者らは悲しみを堪え切れず、告別式場は泣き声で覆われた。
キム隊長の告別式は、遺族や消防同僚など約90人が参列し、京畿道庁長として執り行われた。キム隊長は17日、京畿道利川市(イチョンシ)のクーパン徳坪(トクピョン)物流センターの火災で、内部に残っているかもしれない人命を救うために火の中に飛び込んだが戻れなかった。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、弔電を送って、「故人は火災の現場で先頭に立って、みんなの安全を守るために最善を尽くした」とし、「大韓民国は、故人の情熱や献身を決して忘れない」と哀悼した。
告別式が終わり、棺桶を運ぶ行列がゆっくりと告別式場を出ると、キム隊長の母親は両手を伸ばし、「うちの息子に触ってみよう。さようなら」と声を上げて息子を呼んだ場面もあった。同僚の消防士らは挙手敬礼でキム隊長の最後を見送った。故人の遺体は同日、国立大田(テジョン)顕忠院に埋葬された。
広州=イ・ギョンジン記者 lkj@donga.com