「高速鉄道でフランス各地に『韓国の味』を伝えていきます」
22日(現地時間)、フランス・パリのモンパルナス駅に到着したばかりの高速鉄道TGVのレストランで会った韓国系フランス人シェフ、ピエール・サン・ボワイエさん(41)が強調した言葉だ。9日から今年末まで、TGVと格安高速鉄道「ウィゴー」では牛、豚肉の代わりに鶏肉を入れたビビンバ、キムチを入れたサラダ、豆腐と唐辛子粉で味付けしたパスタの彼が作った3種類のフュージョン韓国食弁当が食べられる。
TGVを運営する鉄道公社(SNCF)は昨年3月、新型コロナウィルス禍を受け、食堂車両を閉鎖した。新型コロナワクチンの普及などで、今月9日に営業を再開しており、新しいメニューとしてボワイエさんの韓国食弁当を披露した。価格は13.9ユーロ(約1万8800ウォン)。ボワイエさんは、「2週間もしない間に、すでに3万5000個が売れた」とし、「顧客の反応が熱い」と話した。
7歳で養子縁組になったボワイエさんは、里親を喜ばせる方法について悩んだ末、料理に夢中になった。モンペリエ大学で料理を専攻し、2011年に料理サバイバル番組「トップシェフ」で準優勝し、スターシェフに跳躍した。現在、パリだけで5軒の飲食店を経営している。
2016年から世界的なスターシェフとコラボしてきたSNCFは、昨年9月、ボワイエ氏に先に連絡した。SNCFが、世界のグルメの聖書と呼ばれる「ミシュランガイド」で「星」をもらわなかったシェフとコラボしたのも初めてだ。ボワイエさんは、「いいチャンスなのに、気が向かなかった」と打ち明けた。料理を直接調理してすぐに出すのではなく、あらかじめ大量に作って販売すると、質を維持するのが難しいと考えたからだ。しかし韓国人妻のキム・ヒジンさんが「韓国の味をフランスの田舎の隅々まで伝えてみよう」と勧め、心を変えた。
ボワイエさんは、「正統韓食ビビンバは、主に牛肉と豚肉を使っているが、列車弁当の特性上、冷たく食べてもよい料理を用意するのに力を入れた」と、鶏肉ビビンバを作った理由を説明した。氏は新型コロナ禍でキムチの免疫効果などが注目されるなど、フランスで韓食人気が高いとし、「新しい料理を食べることは、新しい場所を旅行するようなものだ。韓国料理の材料と韓国の味を生かした新しい料理に挑戦し続けていきたい」と強調した。
金潤鍾 zozo@donga.com