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清貧なソンビの歌

Posted July. 02, 2021 09:01,   

Updated July. 02, 2021 09:01

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与えられた環境に満足しようというソンビ(学者)たちの平常心が目立つ歌。正門といって木一本が掛かっているむさくるしい家だが、いくらでも楽に暮らせ、ちょろちょろと流れ出る湧き水で空腹を満たせなくても、それを観賞することで飢えに耐えることができる。昔の賢人は食べ物と男女関係を人間の根源的な欲求と見なしてはいたが、決して贅沢な食べ物には貪らなかったはずだ。人々はそれなのに、どうして黄河のブリやコイだけを食べようとし、なぜよりによって斉や宋の尊い家門の娘を配偶者として得ようとするのか。歌の根底には、素朴さを大事にするが作為的な欲は排除しろという老子の無為自然、貧しい生活にも心を楽にして道を楽しめという孔子の安貧楽道の思想があまねくうかがえる。老子や孔子の哲学に共感したとあるソンビが作ったのか、それともこの歌が先に出たのか知る由もない。

陳風とは陳の民謡だが、この歌詞は、他の民謡に比べてかなり異質的だ。原始農耕社会で厳しい生活を送ったはずの匹夫匹婦が、果たしてこのような人生観を率直に歌うことができただろうか。物欲と愛に葛藤したあるソンビが自らを引き締めるために作ったか、贅沢を貪るソンビたちの俗物根性を皮肉って作った歌だろう。