20代の韓国人ピアニストが、ドイツで音楽コンサートを創設する。8月6~15日に開かれるツェレ・サマーコンサート(Celler Sommerkonzerte)の芸術監督キム・ジョンウン氏(26)がその主人公。1315年に建設されたツェレ城など4ヵ所で8回のコンサートを行い、ピアニストのベルナルド・ゲッケ氏のマスタークラスも開催する。
キム氏は2009年にソウル芸術の殿堂音楽英才コンクールで、錦湖(クムホ)英才大賞を受賞し、翌年の交響楽祭で歴代最年少の15歳でショパンのピアノ協奏曲第2番を共演した。11年にドイツのハノーファー音楽大学に進学し、「セブリーヌ・キム」という名で活動している。
「昨年、新型コロナウイルスの感染が拡大する直前にツェレ近郊でコンサートを開きました。演奏に来た人が『地域で良い音楽をもっと聴けるといい』と話しました。勇気を得て地域の官公庁と後援機関のドアを叩き、推進してきました」
最初の今年のコンサートの主題は、「遅まきながらベートーベン(Beethoven-nachträglich)」。昨年生誕250年を迎えたが、コロナ禍で十分にスポットライトを浴びることができなかったベートーベンの音楽に再びスポットライトを当てる。8回のコンサートのうち5回で、キム氏が直接ピアニストとして出演する。新型コロナウイルスが役立った点もあった。演奏の機会を失った数人の演奏家が出演の提案に快く応じた。
14日、演劇女優で朗唱家のヨハンナ・クルムストロ氏と共に行う2回のコンサートは特に興味深い。午後4時に、若者が送ってきた「新型コロナ禍の中の日常」のメッセージをクルムストロ氏が朗唱し、キム氏が演奏する。午後7時には、シューベルト、ベートーベンの作品を演奏し、クルムストロ氏は3人の作曲家と文豪ヘルダーリンの人生についてドイツ語圏の文人や演奏家が書いた文を朗唱する。2人が2年前からドイツ各地で朗唱と音楽を結び付けてきた試みの一環だ。
マスタークラスを開催するゲッケ氏は、ハノーファー音楽大学でキム氏を教えた恩師。コンサート最終日の15日に、マスタークラスで教えた生徒たちと2回のコンサートを開く。同学校でキム氏に室内楽を指導したピアニストのマルクス・ベッカー氏も13日、ハイドン・コンサートで参加する。
キム氏は、「地域内の機関や企業に申請し、コンサートに必要な財源支援を受けました。決められた様式を満たせばいいので難しくなかったです」と話した。特に謝意を表したい所もある。「欧州認証のマスクが必要で、韓国のマスク製作会社エスジェイ・イノベーションにコンサートのロゴ入りのマスクの製作ができるか尋ねました。話を聞いて1200枚を快く無償で支援して下さいました」。キム氏は、「大きな規模に欲を出すよりも、地域社会の反応を見て、毎年充実して特色あるコンサートに育てていきたい」と意欲を示した。
ユ・ユンジョン記者 gustav@donga.com