社会主義国キューバで、1994年以来27年ぶりに異例の大規模な政府への抗議デモが起こった。慢性的な経済難が続く中、新型コロナウイルスの感染拡大で、市民の怒りが爆発した。27年前のデモは、市民がフィデル・カストロ政権の反対派弾圧と海外移住禁止に抵抗して起こったが、今回のデモは、食料不足や新型コロナウイルスの感染拡大による経済悪化が背景とみられている。
AFP通信などによると、11日、首都ハバナをはじめ、サンティアゴ、サンタクララなど全国の主要都市で、市民が街頭に出て、「独裁打倒」、「自由をくれ」と叫んだ。ソーシャルメディアにも、「自由キューバ万歳」、「SOSキューバ」といったハッシュタグがついた書き込みが溢れた。デモの動画が広がり、他の地域のデモを触発した。ある女性が、「子供たちが飢え死にする」と絶叫する映像も登場した。パトカーもひっくり返された。当局も、棍棒や催涙スプレーを持った警察を各地に配置し、緊張感が高まった。
デモ隊は、頻繁な停電、医薬品や食料不足などを抗議した。ハバナでは同日、6時間の停電が発生した。コロナ禍の状況も良くない。キューバは豊富な医療人材と厳しい統制のおかげで、新型コロナウイルスの感染初期には比較的うまく対処したが、最近1日の新規感染者が連日6千~7千人台を記録し、最高値を更新している。国際統計サイト「ワールドメーター」によると、12日基準の累計感染者が約24万人にのぼる。新型コロナウイルスで海外の観光客が急減したことも慢性的な経済難を煽っている。
キューバ政府は「これは全て米国のせい」という態度で一貫している。カストロ政権が始まった1959年から、米国が強力な封じ込めを実施したために経済難が発生したという主張だ。オバマ米政権の時に関係改善の兆しが一部あったものの、トランプ政権は制裁を強化し、キューバをテロ支援国リストに上げた。ディアスカネル大統領は同日、国営テレビを通じて、国民に向けて「キューバ人は米政府が現状況の主要責任者であることを知っている。誰も状況を操作できないよう戦闘命令を下した」とし、デモ隊を強硬鎮圧する考えを明らかにした。
ワシントン=イ・ジョンウン特派員 lightee@donga.com