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野望のある女

Posted July. 15, 2021 08:22,   

Updated July. 15, 2021 08:22

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政治であれ事業であれ、野望を抱く者は、成功のはしごになる後援者やパートナーを求めるものだ。19世紀までは、女性は専門教育を受けることはおろか、専門職業を持つことすら難しかったため、野望は男性のための用語だった。しかし、ジェームズ・ティソの絵の中には、野望のある女が登場する。甚だしくはタイトルが「政治的な女」だ。彼女は一体どんな野望を抱いていたのだろうか。

ティソは23歳の時、パリのサロン展に入賞し、早くからフランス画壇で認められたが、自分が支持した「パリコミューン」が失敗すると、1871年、ロンドンに発った。ジャックという本名を捨ててジェームズという英語名に改名して英国画壇で成功したが、恋人が死ぬと再びパリに戻った。帰国直後、ティソは「パリの女たち」というタイトルの展示会を開き、15点の大型絵画を展示したが、「政治的な女」もそのうちの1つだ。「歓迎宴会」とも呼ばれるこの絵は、華やかなドレスを着た若い女性が老紳士と腕を組んで宴会場に入る姿を描写している。その男は彼女が求めるものを与えることができる大きな富と権力を持っていたに違いない。このカップルに人々の視線が集中する。ひそひそと話す人も、陰険な目つきで眺める男性もいるが、女性は自分が注目されることを楽しんでいるようだ。パリの上流層の舞踏会で、女性は自らを優雅で素敵に包み、身分上昇をはかっていることは明らかだ。華やかなピンクのドレスやダチョウの羽のうちわなど、彼女の衣装も当時の洋装技術の傑作であることを見せてくれる。

このようにティソは、上流層の社交界の女性を描き、自分がフランスの画家であり絵画の顧客になる上流社会の脈拍を依然として感じていることを証明しようとした。しかし良い評価はおろか、「優雅な人形」を描いたようだという批判だけを受けた。男を踏み台に身分上昇を夢見た野望のある女は、実はパリの画壇で再起したい画家自身の、ピンク色の希望を代弁するのだった。

美術評論家