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ゲーテはなぜ悲しきウェルテルを描いたのか

ゲーテはなぜ悲しきウェルテルを描いたのか

Posted July. 17, 2021 08:31,   

Updated July. 17, 2021 08:31

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これまで数えきれないほど耳にした題名だが、なかなか手が向かない本がある。「古典」小説だ。読もうと決心してページをめくってみるが、結末まで読むことが容易でない。前のページに手垢だけがつく。

英文学を専攻し、ジョージ・オーウェル(1903~50)の『1984』や『動物農場』などを翻訳した著者は、古典をわかりやすく紹介するためにこの本を書いた。著者は、西欧文学の背景の2大山脈である理性主義と感性主義を扱うことで本を書き始める。2つの思想的流れは、和合と対立を繰り返し、文学の発展を導いた。

 

著者は、古典を執筆当時の暮らしぶりと関連づけて説明する。トマス・モア(1478~1535)の『ユートピア』を扱う前に、羊毛価格の急騰でエンクロージャー運動が発生した16世紀の英国の状況を語る。『ユートピア』は、「羊が人を食う」という言葉が出てくるほど広まった当時の社会に対する不満から始まった。

 

ウェルテル効果を生んだヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ(1749~1832)の『若きウェルテルの悩み』は、理性と合理性に対抗して感情と個性を主張した文学運動である18世紀ドイツの「疾風怒涛運動(シュトルム・ウント・ドランク)」の影響を受けた。このため、主人公ウェルテルは感情と欲望を有するキャラクターとして描かれた。

これまで五回映画化されたフランシス・スコット・フィッツジェラルド(1896~1940)の『華麗なるギャツビー』の背景は、1920年代の米国のジャズ時代だ。第1次世界大戦で抑えられていた大衆の欲望は、終戦後にジャズ音楽と共に爆発した。この時代の米国のキーワードは金と快楽であり、消費が美徳だった。『華麗なるギャツビー』では、主人公のギャツビーが行う贅沢なパーティーを通じてこれを生き生きと見せる。 

 

著者は、「多くの本が短命なのとは違って、歳月の試練を経験し、堂々と本棚に置かれること自体が古典を読まなければならない理由」と強調する。古典を読みたかったが、その重みに押されて簡単に近寄ることができなかった読者がいるなら、この本を通じて再度挑戦してみるのもいいだろう。


イ・ギウク記者 71wook@donga.com