「出かけることもできないし、じっとしているのは窮屈だし」
12日に日本入りし、翌日から3日間、宿舎での自主隔離を終え、16日に東京五輪施設の中で初めて訪問したメインプレスセンター(MPC)には二つの表情が共存した。開幕1週間を控え、まだ静かで閑散とした風景だが、開幕後は数千人の報道陣が頻繁に出入りするものと見られる。防疫管理や行政支援などで大きな混乱が生じかねないという気がして、嵐の前の空気すら漂っていた。
日本最大の国際展示場である東京お台場ビッグサイトに設置されたMPCに行くためには、各メディアが滞在するホテル近くのバス停で東京オリンピック組織委員会が提供するバスに乗って国際放送センター(IBC)前にあるメディア停留所(MTM=Media Transport Mall)で降りなければならない。ここで再び専用バスに乗り換え、5~6分をかけてMPCに到着する。狭いバスで各国の記者は寄り添うしかない。
現在、日本に入国する国別に選手団と取材陣に対する防疫適用基準が違う。ワクチン接種の有無とは関係ない。韓国選手団や取材陣は入国後、翌日から3日間自主隔離を行い、毎日、遺伝子増幅(PCR)検査を受ける。新型コロナウイルスのデルタ型変異株感染者が大量に発生した国の選手団と取材陣にはさらに厳しい基準が適用される。特にアフガニスタン、インド、インドネシア、パキスタン、ザンビア、スリランカ、モルディブ、ネパールなどから入国した関係者たちは、入国前に7日間、そして3日間の自主隔離を終えた後、7日間毎日PCR検査をしなければならない。
MPCには取材記者、報道カメラマンたちが集まって作業をする「プレスワークルーム」がある。五輪が始まれば、ここに300~400人以上が同時間帯に作業を行うものとみられる。東京五輪組織委員会と各国の国家五輪委員会の関係者らも出入りする。この状況下で頼れるのは、唾液をプラスチックチューブに吐いて、密封して提出するPCRテスト検査で何の異常もないことを願うだけだ。
MPCで作業をしていたが、息が苦しくなったのでマスクを少し下ろして水を飲んではすぐマスクを上げた。進退両難の始まりだ。
兪載泳 elegant@donga.com