史上最悪の洪水で150人以上の死者が出たドイツで、次期首相と有力視される政治家が洪水被災地を訪れ、談笑したことで批判を浴び、謝罪した。悲しみに沈んだ洪水被災地の住民は政治家のイベント性訪問を批判した。
17日、AFP通信によると、ドイツ与党キリスト教民主同盟(CDU)の党首でノルトラインウェストファーレン州首相のラシェット氏は同日、洪水被害が深刻なエアフトシュタットを訪れた。ラシェット氏は、9月にメルケル首相の任期が終われば、次期首相になることが有力視されている人物。
ラシェット氏は、シュタインマイヤー大統領が犠牲者を追悼する演説をする間、後方で周囲の人たちと20秒ほど笑いながら話をしていた。この様子が移った映像が放送され、非難が起きた。
ビルトなどドイツメディアは、「全国が泣いているのに、ラシェット氏は笑った」と批判した。ある野党議員は、「このすべての状況が州首相にはジョークなのか。彼がどうして次期首相になれるだろうか」と述べ、CDUと連立政権を組む社会民主党の幹事長は「言葉を失う」と述べた。波紋が広がると、ラシェット氏はツイッター上で、「不適切であり、申し訳なかった」と謝罪した。
14日から欧州西部を襲った豪雨で、現在までにドイツで156人、ベルギーで27人など183人が死亡した。数百人の安否が不明で、死者はさらに増えるものとみられる。
米紙ニューヨーク・タイムズによると、ドイツ・ライン川とアール川の間の小さな町ジンチッヒのある療養施設では、身体の不自由な障害者12人が今回の洪水で死亡した。彼らは療養施設1階にいたが、15日午前、突然増水して避難できず、救助隊が到着する前に死亡した。施設内にいた健常者24人は上階に避難し、命は助かった。療養施設の近くに住むある住民は、「雨が降る前に政府は警告しなかった。政治家たちが療養施設を続々に訪れる姿がおぞましい」と同紙に話した。
李恩澤 nabi@donga.com