「状況は悪いが同時に良くなっているし、良くなっているが同時に悪くもある」(ハンス・ロスリングなどの「ファクトフルネス」)
私は「ドクターアンドドクターの子育て日記」というウェブトゥーンを描いている工学博士だ。「経断女(キャリアが途絶えた女性)」が日常的だが、「経断男」という言葉は慣れない社会で3年間の子育てによりキャリア断絶を経験し、進路について悩んだ末にウェブトゥーン作家という道を歩むようになった。
子育て漫画を描きながら、育児と職場を並行する難しさ、キャリア断絶といった問題について多くの話をした。その解決策まで打ち出したかったが、絡んでいる諸問題はあまりにも複雑で、自分の見識も十分でないため、胸の痛む共感しか盛り込めなかった。会議でアイデアを出す代わりに、できない理由だけを挙げて、足を引っ張るような人になったような罪悪感でしばらく眠れなかった。ある日「ファクトフルネス」を読んだ。
この本は、多くのデータを通じて世の中が思ったより良い方向に進んでいることを見せてくれる。韓国社会に何の問題もないということではない。状況は悪いが、明らかによくなっているということだ。その瞬間、頭を一発殴られたようなショックに陥った。確かに私が経験する問題の中でも、よくなる部分はあった。男子トイレにおむつ替え台が設置されたり、家族トイレが増えたり、無償保育の拡大などは確かに前向きな変化だった。ただ、主な養育者の絶対的な犠牲なしに、子どもを産み、育てることは依然として容易ではない、悪い状態に過ぎない。
互いに敵味方に分けて嫌悪することにあまりにも多くの力を注いでいる時代だ。しかし、ある問題は、性別や人種、宗教に関係なく、皆に影響を及ぼす。育児関連問題も同様に、育児に関わることを決めた男性である「私」に、その大半が同じだった。このような問題を解決するために、皆が力を合わせなければならないのではないか。私たちは辛い時代を生きているが、もっと良くなることができるから。