電気自動車市場が膨らみ、陽極材を作る韓国素材メーカー各社の存在感が増している。電気自動車のブームに乗って、ポスコケミカルをはじめ、韓国内バッテリー素材メーカー各社はスーパーサイクル(超好況期)に差し掛かっているという評価が出ている。
陽極材とは、ニッケル、コバルト、マンガンで構成された素材だ。上辺では黒い鉱物粉だが、電気自動車などのバッテリーの重要素材といわれている。バッテリーは、充電時に内部のリチウムが陽極から陰極に移って貯蔵され、バッテリーを使用する放電時にリチウムが陽極に移動する構造で動作する。陽極材にニッケルが多く入っているほど、バッテリーの容量も大きくなる。普通電気自動車1台当たり、陽極材100キロが使われる。
韓国の主要陽極材メーカーのポスコケミカルは、今年第2四半期(4〜6月)に4800億ウォンの売上を記録した。四半期基準では過去最大だった。この中で、バッテリーのコア素材の陽極材が売上全体の35%(1677億ウォン)を占めた。会社全体の営業利益は、昨年同期より773.9%増の356億ウォンに達した。
ポスコケミカルは、2025年は27万トン、2030年は40万トンへと陽極材の生産量拡大を推進している。コスモ新素材は1500億ウォンを投資し、現在2万トンの陽極材の生産を2023年は7万トンへと増やす計画だ。
バッテリー業界では、ニッケル含量を現在の60〜80%から今後90%以上に引き上げる「ハイニッケル」の商用化に、本格的に乗り出している。電気車業界も、ハイニッケルの商用化に神経を尖らせている。現在400キロ程度の電気自動車の走行距離を、700キロレベルに引き上げることができるからだ。米テスラ最高経営者(CEO)のイーロン・マスクは昨年9月、「ニッケルが100%のバッテリーを開発したい」と宣言し、今年3月、バッテリーの自立推進を宣言したドイツのフォルクスワーゲンは、陽極材メーカーとの接触を増やしている。電気自動車「アイオニック5」にニッケル含量80%のバッテリーを採用した現代(ヒョンデ)自動車グループも、次期作の走行距離増加のために、ハイニッケル陽極材を使ったバッテリー確保を推進している。
ポスコケミカルエネルギー素材研究所のキム・ドヒョン所長(常務)は、「2010年の事業初期から、電気車に必要なニッケル含量80%の陽極材市場を狙って、今日の競争力を確保した。かつて自動車業界がエンジン技術の確保をめぐって競争したように、電気自動車にはバッテリー技術が重要になるだろう」と予想した。
徐亨錫 skytree08@donga.com