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五輪の象徴になった彫刻

Posted July. 29, 2021 08:38,   

Updated July. 29, 2021 08:38

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紀元前5世紀に活動したミュロンは、当代最高の彫刻家だった。彼は、運動選手の彫刻像で有名だったが、特に「円盤投げ」はギリシャ時代の美術の傑作であり、五輪の象徴的イメージとみなされる。気になるのは、ミュロンはどうして、わざわざ円盤投げ選手を選んだのか。古代五輪選手は本当に裸体で競技に参加したのか。

ミュロンの青銅彫刻の原本は消失したので、私たちはローマ時代の複製品を通じて推察することができる。1世紀頃に制作されたこの大理石の複製品は、裸体の若い男が回転力を利用して重い円盤を投げようとする瞬間を表現する。青年は前かがみになって上体を横にねじり、右腕を後ろに力いっぱい引いた。右足に重心を置いて左足をそっと後ろに引き、感情を抑制しようとするように顔は無表情だ。この姿勢があまりにも完璧に見えたので、後代の多くの選手がまねようと努めたが容易ではなかった。効率的でもなかった。選手の実際の競技の姿勢を示そうと制作されたのではなく、1つの芸術作品だったからだ。実際、ミュロンの彫刻は優れた運動感の表現だけでなく、比例と均衡、調和というギリシャ的理想を表わしたとして賛辞を受ける。

円盤投げは、古代五輪でペンタスロンと呼ばれた五種競技の最初の種目だった。彫刻家は、訓練で鍛えられた選手の体を理想的に表現できる種目を考え抜いたのだろう。S字曲線を作ることができる円盤投げのポーズは卓越した選択だった。

古代五輪は様々な面で現在とは違った。神に捧げる儀式の一環だったし、選手は名門の家の子弟で、皆裸体で競技に臨んだ。女性は観戦すら禁じられた。反則すれば死刑になるほど規則も厳しかった。その代わり、勝者は名誉を得ることができたので、自身の彫刻像を有名彫刻家に依頼し、永遠に保存しようと考えた。ミュロンの彫刻が五輪の象徴になったのは、訓練で鍛えられた美しい体と優れた精神の完璧な調和を表現したからだろう。

美術評論家