ブルックス前在韓米軍司令官(62・写真)が、来年3月の韓国大統領選を控え、韓国で反米の兆しが現れており、特に一部の大統領候補がポピュリズムを前面に出して、反米、反同盟に向いていると懸念を示した。韓国の政治状況が在韓米軍の訓練を制限しているとし、大統領選や中国の圧力に関係なく韓米同盟を強化しなければならないと繰り返し強調した。
ブルックス氏は29日(現地時間)、任浩永(イム・ホヨン)元韓米連合軍司令部副司令官と米外交誌フォーリン・アフェアーズに共同寄稿した「北朝鮮との一括妥結」という文を通じて、「韓米同盟は、韓国の大統領選期間や大統領選が終わった後も連続性を維持しなければならない」とし、「トランプ前政権と文在寅(ムン・ジェイン)政権の時に両国の同盟が弱まった理由は、ポピュリズム的民族主義を満足させるために国防を政治化したためだ」と強調した。
また、「韓国大統領選を控えて政党らが激突し、ポピュリスト(大統領選)候補が反米と反同盟主義を続けようとする兆しがすでに現れている」と指摘した。そして、「合同航空ミサイル防衛システム、指揮統制システムの現代化、戦術核の確保といった事案は、特にポピュリズム的民族主義政治に脆弱なこともある」とし、両国の指導者と軍事専門家の超党派の支援が必要だと強調した。
ブルックス氏は、「韓国は、在韓米軍が主要訓練施設に接近できないようにする政治的障害を除去しなければならない。訓練施設への接近を制限すれば、米国は攻撃ヘリコプター「アパッチ」部隊などの兵力を日本やアラスカに再配備することを検討するほかない」と指摘した。慶尚北道浦項(キョンサンプクト・ポハン)のスソン射撃場の近隣住民の反対で在韓米軍のアパッチヘリの訓練が中止されたことを批判したのだ。直接言及することはなかったが、高高度ミサイル防衛システム(THAAD)基地反対論議なども念頭に置いたとみられる。
ブルックス氏は、韓米が密着すればするほど中国が圧力をかける可能性があるとし、両国が共同対応に出るよう求めた。また、中国が2016年のTHAAD配備論議の時、韓流コンテンツや旅行などの様々な分野で経済的圧力を加えたことを取り上げ、「韓米指導者は、中国の経済的強圧手段に対する両国の対策を具体的に準備しなければならない。両国同盟は、伝統的な軍事的領域を越え、経済と政治戦争にまで共同防衛態勢を拡張しなければならない」と主張した。
対北朝鮮政策については、「北朝鮮との関係正常化も確固たる韓米同盟を土台にして始まらなければならない」とし、北朝鮮のインフラ開発に向けた米国の金銭的支援などを通じて中国に対する北朝鮮の依存を減らすことができると助言した。
ニューヨーク=ユ・ジェドン特派員 シン・アヒョン記者 abro@donga.com · jarrett@donga.com