「屑鉄」原子炉を再稼働する北朝鮮、それで身代金は上がらない
Posted August. 31, 2021 07:28,
Updated August. 31, 2021 07:28
「屑鉄」原子炉を再稼働する北朝鮮、それで身代金は上がらない.
August. 31, 2021 07:28.
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北朝鮮が、寧辺(ヨンビョン)の核施設の5メガワット原子炉を再稼働させた情況が、国際原子力機関(IAEA)に捉えられた。IAEAは定例理事会の報告書で、「2018年末から稼動の兆候がなかった5メガワット原子炉に、今年7月初旬以降、冷却水の排出など再稼働の兆候が見られる」と明らかにした。この原子炉から出た使用済み燃料棒を再処理してプルトニウムを生産する放射化学研究所も、5ヵ月間にわたって動いたという。北朝鮮が核兵器の原料であるプルトニウム生産計画を再開したのだ。北朝鮮が3年近く停止していた原子炉を再稼働するのは、これまで力を入れたウランのほかにプルトニウム計画も再開することで、2種類の核爆弾(ウラン弾とプルトニウム弾)を保有するという狙いがある。さらには、北朝鮮は原子炉の稼動を通じてブースト型核分裂爆弾の製造に必要な三重水素も確保できる。このように脅威的な核兵器を持つ核保有国としての地位をアピールすることで、国際社会の非核化要求を無力化する策略とみられる。北朝鮮は核増強の意図をこれ見よがしに表わした。原子炉稼動を通じたプルトニウム計画は、ウラン濃縮計画より核兵器の原料の生産効率が落ち、それだけ多くのコストがかかる。衛星写真などを通じて外部に簡単に露出するにもかかわらず、再稼働の動きを誇示した。米国への脅威を強めるとともに交渉を迫るという常套の低強度の挑発デモだ。寧辺原子炉は、放射能の流出まで懸念される危険な屑鉄の塊と言われてきた。これまでの核合意で、軽水炉建設や経済補償を受ける見返りに差し出す取引対象となり、一時は付帯する冷却塔を爆破するショーまで行った。北朝鮮は一昨年にも、この原子炉を含む寧辺核施設の廃棄を米国の制裁解除と対等交換しようとしたが失敗した。北朝鮮は原子炉を再稼働することで、交渉カードとしての寧辺核施設の価値を高めようとしたのだ。北朝鮮は米国の度重なる対話要求にも一切応じていない。制裁緩和のような譲歩から勝ち取るという思惑だ。今回の原子炉再稼働の動きも、対話が至急だという国際社会の世論を煽り、北朝鮮核問題を米国の優先順位に引き上げる狙いがある。しかし、このような常套手法がまた通じるだろうか。米国は条件のない対話を求めながらも、対話自体のための補償も、言葉だけの合意のための補償もありえないということを明確にしている。米国はもはや北朝鮮の恐喝には慣れているのだ。
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北朝鮮が、寧辺(ヨンビョン)の核施設の5メガワット原子炉を再稼働させた情況が、国際原子力機関(IAEA)に捉えられた。IAEAは定例理事会の報告書で、「2018年末から稼動の兆候がなかった5メガワット原子炉に、今年7月初旬以降、冷却水の排出など再稼働の兆候が見られる」と明らかにした。この原子炉から出た使用済み燃料棒を再処理してプルトニウムを生産する放射化学研究所も、5ヵ月間にわたって動いたという。北朝鮮が核兵器の原料であるプルトニウム生産計画を再開したのだ。
北朝鮮が3年近く停止していた原子炉を再稼働するのは、これまで力を入れたウランのほかにプルトニウム計画も再開することで、2種類の核爆弾(ウラン弾とプルトニウム弾)を保有するという狙いがある。さらには、北朝鮮は原子炉の稼動を通じてブースト型核分裂爆弾の製造に必要な三重水素も確保できる。このように脅威的な核兵器を持つ核保有国としての地位をアピールすることで、国際社会の非核化要求を無力化する策略とみられる。
北朝鮮は核増強の意図をこれ見よがしに表わした。原子炉稼動を通じたプルトニウム計画は、ウラン濃縮計画より核兵器の原料の生産効率が落ち、それだけ多くのコストがかかる。衛星写真などを通じて外部に簡単に露出するにもかかわらず、再稼働の動きを誇示した。米国への脅威を強めるとともに交渉を迫るという常套の低強度の挑発デモだ。
寧辺原子炉は、放射能の流出まで懸念される危険な屑鉄の塊と言われてきた。これまでの核合意で、軽水炉建設や経済補償を受ける見返りに差し出す取引対象となり、一時は付帯する冷却塔を爆破するショーまで行った。北朝鮮は一昨年にも、この原子炉を含む寧辺核施設の廃棄を米国の制裁解除と対等交換しようとしたが失敗した。北朝鮮は原子炉を再稼働することで、交渉カードとしての寧辺核施設の価値を高めようとしたのだ。
北朝鮮は米国の度重なる対話要求にも一切応じていない。制裁緩和のような譲歩から勝ち取るという思惑だ。今回の原子炉再稼働の動きも、対話が至急だという国際社会の世論を煽り、北朝鮮核問題を米国の優先順位に引き上げる狙いがある。しかし、このような常套手法がまた通じるだろうか。米国は条件のない対話を求めながらも、対話自体のための補償も、言葉だけの合意のための補償もありえないということを明確にしている。米国はもはや北朝鮮の恐喝には慣れているのだ。
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