ソウル麻浦区(マポグ)で自炊するサラリーマンのイ・ヒョンビンさん(26)は、今年初め、4人用円形のテーブルと椅子2脚を購入した。普段食事を済ませていた一人用の折りたたみ式の食膳は片づけて久しい。イさんは、「いまや自宅は、退社後に寝てばかりいる場所ではなく、在宅勤務して友達と交流する場所になった」とし、「きちんとした食卓が必要になった」と話した。
新型コロナ禍以降、消費者らが最も多く取り替えた家庭の家具は食卓だった。東亜(トンア)日報が主要家具メーカーの新型コロナ前後の3年間の品目別の販売伸び率について調べた結果、食卓販売が最も多く跳ね上がり、大型化の傾向もはっきりしていた。
新型コロナの感染拡大が始まった2020~2021年(上半期基準)のハンセムの品目別家具の販売について分析した結果、今年上半期の食卓販売額は前年同期より53%伸びた。続いて書斎(40%)、ベッドのマットレス(20%)、ソファー(12%)の順に販売額の伸び幅が大きかった。現代(ヒョンデ)リバートが新型コロナの禍後(2020年1月~2021年6月)、直前同期より多く売れた家具品目を調査した結果も同様だった。食卓が含まれたキッチン家具が新型コロナ禍以降、四半期ごとに平均36%ずつ売り上げが伸び、全体品目の中で最も高い成長振りを見せた。
特に、食卓の大型化の傾向が目立った。現代リバートによると、キッチン家具の中でも6人用食卓の売り上げが新型コロナ以前より25%と最も高い成長率を見せた。現代リバートの関係者は、「品ぞろえ用だった6人用の食卓が、主力商品に浮上したのは異例なことだ」とし、「1人や2人世帯は4人用食卓を探し、4人世帯は6人用食卓を探すなど大きな食卓を好む」と話した。
ソウル瑞草区(ソチョグ)に住むチョン某氏(62)も最近、再建築が完了したマンションに入居し、8人用テーブルを購入した。チョンさんは、「2人の息子が分家し、夫と2人で過ごしているが、趣味生活を共有したり一緒に料理したりすることもでき、家族の集まりも家で行われているので、食卓だけは大型にこだわった」と話した。
食卓が大きくなったのは、新型コロナで家庭料理や在宅勤務、ホームパーティーなど、室内生活が全て食卓を中心に見直されたためだ。食卓がキッチンの片隅を離れ、リビングの「中心家具」として浮上するトレンドも生まれた。大学生のキム・ヨンヒョンさん(26)は最近、食卓をリビングに移し、ソファーを別の場所に片付けた。キムさんは、「在宅勤務の父親も広いテーブルを探して台所によく来るので、席を変えた」とし、「快適なリビングに食卓を置くと集中もできるし、ご飯ももっとおいしい」と話した。
専門家は、こうした「食卓の変身」が、新型コロナ以降完全に変化した室内生活文化を反映すると診断する。仁荷(インハ)大学消費者学科のイ・ウンヒ教授は、「テレビとソファーを中心に従来のリビングが持っていた休憩機能は部屋に移動した」とし、「今やリビングは食卓を中心に業務、勉強、趣味などが行われる複合的空間になった」と語った。祥明(サンミョン)大学経済金融学部のイ・ジュンヨン教授は、「自宅が家族や友人と時間を過ごす多次元的空間になっただけに、主要家具の大型化傾向は続くだろう」と話した。
イ・ジユン記者 leemail@donga.com