日本財務省の矢野康治事務次官(59・写真)は、8日発売の月刊誌「文芸春秋」への寄稿文で、政界のばらまき政策競争をめぐり、「国家財政が破綻する恐れがある」と叱咤した。キャリア官僚の中で最高位職である次官が、強い口調で意見を表明するのは極めて異例という評価が出ている。
昨年、日本は新型コロナ対策として、全国民1人当たりに10万円(約110万ウォン)を支給した。これについて、矢野氏は「有権者に歓迎されるかは分からないが、意味ある経済対策ではない」とし、「本当に巨額のかかる経済対策が必要なのか、費用と弊害も含めてよく吟味する必要がある」と指摘した。
特に矢野氏は先月29日に行われた自民党総裁選挙と今月31日に実施される衆議院選挙などでも、大衆迎合主義性格の強い政策が大量に登場したとし、現在の日本の状況を「氷山(債務)に衝突したタイタニック号のようだ」と評価した。特にタイタニック号は、衝突直前まで氷山の存在に気づかなかったが、日本は[債務の山]という存在をすでに知っていながら避けようとしないとし、「非常に危険だ。衝突を避けようとする緊張感が緩んでいる」と指摘した。
与党自民党と共に連立与党を構成する公明党は、今回の総選挙で、「弱者配慮のために、高校生以下のすべての子供に1人当り10万円を支給する」と公約した。「未成年者を無条件に弱者と見なすべきか」「昨年、未成年者も大人と同じく10万円を受け取っていたのに、今回また与えるのか」など議論が激しい。
矢野氏は、「日本の国家負債は国内総生産(GDP)の2.2倍と、世界最高水準であるのに、政界は財政赤字を懸念せず、むしろ、さらに増やす話ばかりしている」と批判した。「日本以外の先進国では、経済対策を実施する際、財源論議も必ず行う。財源展望もなく、公的支援を拡大させるのは日本だけだ」と叱咤した。
東京=パク・ヒョンジュン特派員 lovesong@donga.com