高宗(コジョン)の孫で「朝鮮王朝最後の王女」と呼ばれるイ・ヘギョン氏(91)が、京畿(キョンギ)女子高校同窓会が授与する第28回「誇らしい京畿人」の受賞者に選ばれた。朝鮮王朝の資料の発掘整理および在外韓国遺物返還要求などの活動の功労が認められたのだ。
米ニューヨークで暮らす李氏は、高宗の次男の義親王(1877~1955)の5番目の娘で、1930年に生まれた。幼い頃は、ソウル鍾路(チョンロ)にあった義親王の私邸である寺洞宮で暮らした。光復後、京畿女子高校、梨花(イファ)女子大学音楽科を卒業した李氏は、ソウル豊文(プンムン)女子高校で音楽教師を務めていた1956年、米国に留学した。当時、李氏の財布には飛行機のチケットと80ドルが入っていたが、大切にしていたピアノを売った金だったという。
3日で米国に到着した李氏は、1959年、テキサス州のメアリー・ハーディン大学ベイラー校で全額奨学金を受け、声楽科を卒業した。しかし、不法滞在者であったため、卒業後は生計のために飲食店やキムチ商売、ベビーシッターなどを転々とした。韓国戦争の時、大邱(テグ)米第8軍の図書館で司書として働いた経歴が認められ、69年に米コロンビア大学東洋学図書館の韓国学司書として就職した。李氏は、その時から本格的に歴史認識の再確立と文化財返還の活動に乗り出した。
李氏は96年に東洋学図書館韓国学課長で定年退職するまで27年間、米各地にある朝鮮関連の資料を捜し出した。李氏は、父親の義親王が米バージニア州ロアノーク大学に留学した時、在米韓国人の若者たちと共に独立運動をした記録を公開したほか、97年に『私の父、義親王』という回顧録を出すなど、朝鮮王家に関わる活動をしてきた。
李氏は、在外韓国文化財の返還にも努めた。2013年、東京国立博物館にある高宗の兜と鎧を返還するよう安倍晋三首相(当時)に返還請求の書簡を送った。ワシントンの駐米大韓帝国公使館の返還運動を計画したのも李氏だった。03年、京畿女子高校のキョンウン博物館の開館の時は、義親王妃が与えた礼服、チマ(スカート状の韓服)、冠など宮中の遺物を寄贈した。李氏は受賞決定後、「自分と周囲のために最善を尽くして生きてきたにすぎない。社会に貢献したことはない」と話した。
金照子(キム・チョジャ)延世(ヨンセ)大学看護学部名誉教授(80)も、李氏と共に「誇らしい京畿人」に選ばれた。金氏は06年に看護協会長を務め、看護法制定に向けて努力するなど、看護教育と保健政策の発展に貢献した功労が認められた。授賞式は16日、ソウル江南区(カンナムク)にある京畿女子高校100周年記念館で開かれる。
チョ・ユラ記者 jyr0101@donga.com