衣装の片方の肩に綿を入れ、公演中、少し曲がった姿勢で演技する。喉をかくような蛮声と絶叫も加味される。顔面をゆがめ、力をふりしぼるように歌う。腐った歯、曲がった鼻、アザができたような目の扮装により、さらに深くストーリーに入り込む。
来年5月8日までソウル松坡区(ソンパク)のシャルロッテシアターで上演するミュージカル「ジキル&ハイド」の主人公のジキル博士は、善悪が共存する二重人格。自身の体に薬品を注入して隠していたさらなる自我「ハイド」に変身する。リュ・ジョンハン、ホン・グァンホ、シン・ソンロクがキャスティングされ、扮装から声、動きまで全く違う2つのキャラクターを演じなければならない。特に、舞台照明の変化によって瞬間的に2つのキャラクターを行き来する演技は感動する。のらりくらりした歩き方で舞台を歩く欲望に支配された犯罪者ハイドを見るのは興味深い。
来年2月20日までソウル龍山区(ヨンサンク)のブルースクエアで上演するミュージカル「フランケンシュタイン」でも怪物が登場する。主人公のアンリ・デュプレは第1幕の後半から死体をつなぎ合わせて作った「怪物」に変身する。社会から見捨てられ、虐げられた怪物は、自身の誕生を呪いながらも、体験した傷を創造主に返すために残忍になる。ゾンビのような動作の演技は基本。地下を突き抜けるような低音から高音域まで消化し、奇声、絶叫で恨みの入り混じった感情を表現する。音域帯が広いので、演者の間でも難しい作品に挙げられる。主役を演じる役者らが、練習の時「死にたい気持ちだった」とか「シャワーして泣いた」など感想を残すほどだ。今回のシーズンで、パク・ウンテ、カイ、ジョン・テクウンがキャスティングされた。
3日、ソウル瑞草区(ソチョク)の韓電(ハンジョン)アートセンターで開幕するミュージカル「ジャック・ザ・リッパー」は、英国を恐怖に陥れた殺人魔の話を扱う。19世紀後半に起こった実際の連続殺人事件をもとに制作した同名のチェコのミュージカルを脚色した。シン・ソンウ、キム・ボプレ、カン・テウル、キム・バウルが殺人魔「ジャック」を演じ、人間の残忍で暗い面を多角的に表現する。
来年2月22日までソウル中区(チュンク)忠武(チュンム)アートセンターで上演するミュージカル「レベッカ」には、狂気あふれる女性キャラクターの代名詞「ダンヴァース夫人」が登場する。執着と狂気、そして破滅につながる人間の変化を披露する。中毒性のある高音や背筋が寒くなるような目つき、表情が狂気をうかがわせる。今回の公演では、シン・ヨンスクとオク・ジュヒョンがキャスティングされる。
文化評論家で作家のイ・ドンソプ氏は、「『オペラ座の怪人』、『ジキル&ハイド』のように狂気、醜さを前面に出した主人公が登場する作品が国内ミュージカル草創期から興行すると、この成功公式に従う作品が増えた」とし、「観客は深く入り込める独特で強いキャラクターを望む」と分析した。
キム・ギユン記者 pep@donga.com