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恋慕の歌

Posted December. 10, 2021 08:12,   

Updated December. 10, 2021 08:12

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はるか遠い雲をはさんだ人を描く夜。コオロギの鳴き声、冷たい初霜、かすかに光る灯火と明るい月まで、一つ一つにただ長いため息だけがこぼれる。広大な空と川に塞がれ、辺境の険しい山に塞がれ、夢でも会えない悲しさで、切なくなるばかり。歌の主人公は誰だろうか。一生、飲酒と遊覧を楽しみながら自由奔放に生きた李白のイメージに、この繊細で切ない情緒をつなげることはどうも慣れない。そのため、国境地帯に出征した夫を恋しがる妻の境遇に、詩人が感情移入したものと解釈される。また「花のような美人を限りなく懐かしむ」心は、玄宗の寵愛を受けて朝廷から追い出された李白の心情が投影されたものと見ることもある。

形式が自由で、口語体で素朴な美しさを漂わせるこの詩は、5・7言で定型化された当時の雰囲気とは異なる。文人詩が成熟する前の漢代以降の民歌の姿がまさにこうだったが、豪放な李白としては民歌風の素朴さが好みに合っていたのだろう。もっともらしい詩題の代わりに、最初の一節をタイトルにするのも民歌の特徴だ。