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ジャングルで生き残ること

Posted January. 06, 2022 08:21,   

Updated January. 06, 2022 08:21

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アンリ・ルソーが描いたジャングルの風景画だ。嵐の日、虎は稲妻のためか、えさを襲うためか、身を精一杯低くしながら前を向いている。丸い目を大きく見開いた猛獣は、獰猛な歯をむき出しにして、何を追いかけているのだろうか。

パリ市税関の職員だったルソーは、趣味として絵を描き、49歳で引退後、専業画家になった。「日曜画家」と嘲笑われる中でも、「アンデパンダン」展に参加し続けながら夢を育んだ。絵を習ったことがないので表現は下手だったが、どの流派にも属さない自分ならではの独特の手法を作り出した。この絵は、彼を有名にした20点あまりの「ジャングル連作」の最初の作品だ。

絵が展示された時、子どもの絵のように幼稚だという批判もあったが、異国的なテーマと独特な画面構成についての賛辞も相次いだ。絵の中の背景はメキシコのジャングルだ。ルソーは、軍服務当時、メキシコジャングルを経験したと主張したが、実際、彼は一度もフランスの地を離れたことがなかった。細かく描かれた熱帯植物は、パリの植物園で見たものだった。虎は、パリ万博で展示された剥製動物を参考にして描いた。実際の風景ではなく、想像画なのだ。

「びっくりしたでしょう!」というタイトルも、想像力を刺激する。評論家たちは、虎が獲物を驚かすシーンだと解釈するが、虎が追う獲物は描かれていない。ルソーはこの絵について、「探検家を追う虎」と言及している。だとすればキャンバス越しに、銃を持った探検家が立っているのかもしれない。

ジャングルで人と虎が出くわしたら、誰がより驚き、怖がるのだろうか。虎が恐れる存在は、より獰猛な猛獣ではなく人間なのかもしれない。ただ、武器であれ、力であれ、知恵であれ、相手より優れていてこそジャングルで生き残ることができるはずだ。何の準備もなくジャングルに行った探検家は、虎の餌として犠牲になるのは目に見えている。美術を学んだことのないルソーが、熾烈な美術界のジャングルで生き残ることができたのも、想像力と独創性という強力な武器があったからだ。

美術評論家